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除夜舞27周年

この冬2回目の雪が降った寒い大晦日の晩、明大前キッド・アイラック・アートホールの年越し企画、除夜舞27周年を観に行った。自宅からは自転車でさーっと行ってこられるような場所なのだが、雪が積もっているのでさすがに徒歩&電車で出かけた。

9時の開演に30分くらい遅れてしまい、竹田賢一の大正琴の演奏を見逃してしまう。着いたときは2番目のヒグマ春夫の映像作品の上映中。客席正面の壁の上のほう、あと天井からステージに向かって映像が投影されている。ステージ上では白い衣装の女性パフォーマーが大きな白い布で鶴を折っている。ヒグマ春夫の今までに観た作品よりも抽象的な模様っぽい映像だった。

次が鬼沢順子の一人芝居。クリスマスのケーキのネタにはじまり、精神病院の病棟ネタなど。特別な小道具も使わず、一人称の語りのみで20分演じきっていたのは見事。

次の大串孝二は、側面の壁の一角を透明なビニールで覆い、その中で最初のうちは水を、後半では墨(?)をまぜた水をビニールの覆いに跳ね飛ばすなどのパフォーマンス。足元には鏡が斜めに立て掛けて置いてあり、反対側の側面に向かって照明を反射させている。壁側には一畳ほどの大きなキャンバスが立てられているが、キャンバスに向かうことはほとんどなく、しかし墨で汚れた手をキャンバスに向かって後ろ手にはたいたりして抽象的な図柄を描いていく。最後はビニールの覆いを破って出て、鏡で光を反射させた反対側の壁に墨で汚れた手で手型をつけていた。ビニールで囲ってあったとはいえ、激しいパフォーマンスで場内が墨で汚れたのでその後しばらく休憩。

後半一番目の平野晶広は、街中で配られている情報誌を小道具に使った舞踏。白いコートの裾からのぞく素足を痙攣させつつ、壁際で身体を斜めに保つ体勢をとったり、最後は情報誌を広げてゆっくりと前進するなど、舞踏のゆっくりとした動作で失業者の苦悩のようなものを表現。とはいえ、バックに流す音楽が明るいのと本人のキャラクターがあいまって、そんなに湿っぽい雰囲気にはならない。そのへんはもちろんねらいどおりなのだろう。

次の細田麻央は逆立てて膨張させたような髪に顔は白塗り、破けたような裾の黒いワンピース姿で登場。妖艶で、奔放さも併せ持つ美しい舞踏だった。最初は場内を軽快に跳ね回ったりするなど可愛らしさを見せつつも、次第にゆっくりとした動作で闇の世界にひきずりこんでいく。そのたたずまいだけでも非常に雰囲気があったが、黒い布を使って顔を隠したり、ベールのように頭にかぶったりするのも効果的で良かった。

次の若尾伊佐子はBGMなしで20分間のダンス。白いキャミソールの衣装から剥き出しの手足の微細な動きや身体そのものを丁寧に提示するような感じ。最初は縮こまって横になって震えているところからはじまり、立ち上がったり再び地面に座ったりするものの、舞台の中央からほとんど場所を移動することもないし、速い動きを連続させるような技も使わない。照明も天井からのスポットが1つ使われているだけ。極端に演出を廃した冒険的な試みに、ひたすら緊張して見入ってしまった。

最後は徳田ガンの舞踏。都市の雑踏の音をバックに、白い帽子とコート姿で会場をゆっくりゆっくり横切っていく。最後のほうでは場の中央でゆったりと手先を動かしたり前に屈む動作。小刻みだけれどもしなやかな動きが美しい。感情的な要素を廃したシンプルな動きで、まるでそこに昼間の町並みがひろがっているかのような感覚を起こさせてしまう。すばらしかった。

徳田ガンの舞踏が一段落ついたところで、暗転のなかサエグサユキオによるアナウンス。12時を1分ほどまわってしまったようだ。それから出演者全員によるコラボレーションに突入。ヒグマ春夫はたくさんの折鶴を舞台上に投げ、映像の投影をはじめる。竹田賢一は大正琴とラップトップのPCを使った演奏。他の出演者たちは思い思いの動きで表現をし、その動きをとらえた映像がまた重ねて映写される。細田麻央は最初はコートにブーツ姿で歩き回り、また最後のほうでは首をかしげながら折鶴を手に取ったりしてかわいらしい魅力をふりまく。若尾伊佐子は折鶴をけちらしながらのダンス。鬼沢順子は鈴のようなものを持って荘重な雰囲気をかもしだしながら場内を歩いてまわる。だいぶ経ってから先ほどのパフォーマンスで使ったキャンバスを持って現れた大串孝二は、キャンバスに「あけましておめでとう」と書く。その墨で汚れた手で、また平野晶広のTシャツの背中に手型をつけたりしている。

他にもいろいろな光景が数十分繰り広げられ、やがて終演となった。出演者の自己紹介があり、それから地下のカフェ「塊多」に移動してシャンパンで乾杯。鬼沢順子さんのお手製のごまめがすごくおいしい。他にもお刺身、おでんなどたくさんあったけれど、夜ご飯もしっかり食べていたものだからほんの少しずつつまんだ。

座ったのが大串孝二さんの隣だったので、いまいちつかみどころのなかったパフォーマンスの内容についていろいろ語っていただく。パフォーマンス中のいろいろな行為に関して、「跳ね」が大事であるとか「存在と意味」だとかいくつかのキーワードを得ることはできたが、なんだか聞けば聞くほど余計につかみどころがなくなってしまった。こちらからもうちょっとうまい質問をなげかけることができればよかったのかもしれないが。今年はラスコーの壁画を解読するのだそうだ。あの動物の絵は人間の脳みそを逆さまにして投影したものなのだとか。

ヒグマ春夫さんはイランの美術館でおこなわれた日本人アーティストを集めたグループ展に参加したそうだ。この展覧会はTHE RISING SUNと題されていて、見せていただいたパンフレットは白い厚紙に丸い穴があけられて赤い色が丸くみえるようになっている。外国からみたイメージで日本=日の丸というのは強力にあるものなのだなぁと思った。映画監督のアッバス・キアロスタミも関係しているらしく、パンフレットに名前が載っている。今度キアロスタミの写真作品を日本で紹介したいとおっしゃっていた。

あとは若尾伊佐子さん、平野晶広さん、サエグサユキオさん、サノトモさんらのテーブルで歓談。ここに名前を挙げたのはきのうのPERSPECTIVE EMOTIONでも会った人ばかり(あと竹田賢一さんもPERSPECTIVE EMOTION出演者だ)。他にそのテーブルにいたのはサノトモさんのお友達の佐藤さん。サノトモさんとデクノ・バラクーダというユニットを組んで絵を描いているそうだ。若尾伊佐子さんに聞いた話だと、あのダンスは植物のイメージであるらしい。なるほど。ストイックな表現だったのでやたらに抽象的に考えすぎながら観てしまっていたかもしれない。無音で照明もほとんど変わらないのに20分の時間配分ってどうやるんですか? と聞いたら、家で何度かリハーサルをしたとのこと。あっさりとそう答えていたけれど、これはすごいことだと思う。今度のテルプシコールのソロ公演では1時間ぐらい無音で踊るのだそうだ。

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PERSPECTIVE EMOTION #7

西荻窪WENZスタジオにPERSPECTIVE EMOTION #7「第七回 透視的情動」(2日目)を観にいった。これは毎年末に2日間おこなわれている企画で、音楽、ダンス、アートなどさまざまなジャンルにまたがって多数のパフォーマーが集結し、即興のパフォーマンスをおこなうという催し物、というか実験の場である。第一部「シャッフル」ではくじによって2-4人の組み合わせが決定されると、打ち合わせもなくそれから即座に20分間のパフォーマンスがおこなわれる。第二部「生まれくる集合による即興」は第一部の出演者による任意の集団即興。ここ数年は法政大学学生会館大ホールでおこなわれていたが、建物が解体されてしまい、今年は古巣のWENZスタジオでの開催となった。出演者数が非常に多いので、楽屋スペースなども考慮するとWENZスタジオは少し手狭だが、各組み合わせの終了時に完全暗転になることや、よりパフォーマーの近くで観られるという点ではむしろこの会場のほうが良いかもしれない。

観に行った30日(木)がやっと仕事収めで、普段よりは早く会社を出ることができたものの、開演の3時半に遅れること1時間半。万城目純さんや平野晶広さんなど、ダンス系で楽しみにしていた知人の出番を見逃してしまった。でも第一部「シャッフル」の半分以上のパフォーマンスは観ることができたのでそのなかで印象に残ったものをいくつか。

個人的に一番良かったのは、向井千惠+山川冬樹+石川雷太+七感弥広彰の4人によるパフォーマンス。向井千惠は最初は隅のほうで地面に置いたシンバルを蹴っ飛ばして大音響を発していたが、最後は胡弓をふりまわしながら場内を歩きまわるなど。山川冬樹は馬頭琴の演奏に自慢のホーメイをかぶせる。石川雷太は金属板をこする音にギター用のエフェクターをたっぷりかけてアンビエントなサウンドを発する。七感弥広彰は場の中央からほとんど移動せずにゆっくりした動きをみせるが、その存在感がものすごい。あえて舞踏的ではない普通の歩きかたで場内を歩き回る向井千惠のたたずまいとの対比がうまれているのも良い。わたしが向井千惠、山川冬樹のファンだということもあるが、各人のレベルの高さゆえ非常に楽しめる組み合わせだった。しかしこの組み合わせはちょっと出来すぎだ。くじ引きによる偶然の組み合わせから起こる新しい何かを期待するという観点からすれば、幾分凡庸だったと言うこともできるかもしれない。

組み合わせの妙を感じたのは、西島一洋+星野修三+影男(水晶の舟)によるパフォーマンス。西島一洋は、長い巻物状態の紙を斜め一直線に広げたり、最後には布でくるまれた電球をトンカチで叩き割って消すなど、小道具の使いかたが効果的。お面をかぶって特定のしぐさのまま静止してしまう星野修三のパフォーマンスはまた全然違ったタイプだけれど、西島一洋が仕掛けていく装置に即興的な要素を加えていて、いい感じのアクセントになっている。影男のギター演奏はおさまりがよくバックグラウンドミュージックのような感じになってしまっていたけれど、それはそれで自身の持ち味をうまく発揮できていたように思われる。20分間の即興演奏にはまったく迷いがなかったし、繰り広げられていた光景とのとりあわせも良かった。

あと黒田オサム+サエグサユキオ+金亀伊織(?)によるパフォーマンスの冒頭での、黒田オサムの物乞い風の口上と「テーロテーロテーロテーロテーロ」など単純な言葉を発するサエグサユキオのかけあい、望月治孝+武藤容子+渡邊聡の組み合わせの前半での武藤容子のパイプ椅子を使ったダンスが印象に残った。

第一部と第二部のあいだの休憩時に若尾伊佐子さん、平野晶広さん、サノトモさんなど発見。サノトモさんは友達のライヴにはしごするため、もう帰ってしまうそうだ。でもみんなあしたもキッド・アイラックの除夜舞で会うことが判明。

第二部「生まれくる集合による即興」では、第一部での出番を見逃してしまった万城目さんが浴衣姿で登場。振り付けはいつもの調子をゆるーくしたような感じだけれど、衣装のせいでときどき阿波踊りなどの振りを想起してしまう。平野晶広さんは伸縮素材の女性用のワンピースでゆったりと、しかし痙攣したような細かい動きを見せる。ステージ上にはどんどん人が増えていき、かなり混沌とした状態になっていく。なぜか傘をさして登場したかと思うと女性ダンサーの足を縛ったりしていた千野秀一(あとでピアノの演奏もしていたが)、パーカッションを叩きまくる山川冬樹、わざわざ場内ど真ん中でトロンボーンに溜まった唾を捨てていた伊牟田耕児などなど、他ではまず観られない光景もひろがっていた。もちろん人の流れをうまくとらえて、タイミングをはかって自身の芸風によるパフォーマンスを披露する人もいる。第一部の出演者(おそらくほぼ全員)が入れ替わり立ち替わり登場し、一時間程度で終演となった。

それからは客も入り乱れて場内の片付け。といってもわたしはパイプ椅子を片付けただけだけれど。実行委員メンバーで忙しそうな万城目さんを一瞬捕まえて挨拶をしてから会場をあとにした。

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JOJO広重ギター・インプロヴィゼーション

高円寺ペンギンハウスに「JOJO広重・ギター・インプロヴィゼーション10番勝負・番外編」を観にいった。これはJOJO広重が今年10回このペンギンハウスで企画・出演したギター・デュオによるインプロヴィゼーションのシリーズの番外編である。今回はギター・デュオという編成には限らない。ちなみに10回のシリーズの中では、第2回のJOJO広重 vs 川口雅巳(みみのこと)、第6回のJOJO広重 vs 蔦木俊二(突然段ボール)を観ている。

最初はJOJO広重 vs まいこ・ゆっこ(おにんこ)。おにんこは一度、今年の2月にライヴを観たことがある。なかなか面白いセンスを持った良いバンドだと思ったけれど、蔦木俊二のギターが特に印象的だったことは否めない。二人とも若く初々しい雰囲気なのだが、それはそれでどうなることやら興味深い。JOJO広重のMCが終わらないうちに、まいこがギターのカッティングをはじめる。エフェクトをたっぷりかけた不協気味(?)和音。JOJO広重もそれに同調するような感じでコードを刻みはじめる。ベースのゆっこが上モノっぽい感じでやはりエフェクトたっぷりの単音を重ねている。ベースが上モノというのも変な感じだけれど、ゆっこが一番迷いながら演奏していた様子で、結果そういうことになっていたような気がする。全体としてはなかなか気持ちの良い音が出ていたが、エフェクターでそれぞれの音が混ざってしまっていて、個々の演奏そのものを楽しむにはちょっと。20数分ぐらいでまいこ、ゆっこともネタぎれという感じで演奏をやめてしまい終了。二人とも演奏中は無表情だったのが、終わってほっとした表情を見せていたのが印象的。

次がJOJO広重 vs 西村卓也(exみみのこと,Che-SHIZU)。みみのこと、Che-SHIZUとも何度となく観てきたけれど、西村卓也のベースは本当にすごい。ツボを抑えた、というよりは予測のつかない大胆なリズムのはずしかたが実に個性的。微妙にタイミングを狂わせて繰り出される緩急自在のフレーズがバンド全体の音にダイナミズムを与える。西村卓也がみみのことを脱退してしまったこと、最近Che-SHIZUが活動していないことは本当に残念で、今日はなにしろこの組み合わせを一番楽しみにしていた。演奏内容は期待どおりのすばらしいものだった。西村卓也は素早い短いフレーズをちょこっと弾いたかと思いきや、弦をチョーキングしながら右手のひらをこすりつけて音を出したり、ネックを高く持ち上げてゆすって音にヴィブラートをかけたり。しかも弾くときのアクション、最初は軽く一歩前に足が出るぐらいだったのが、次第に二歩、三歩と、ほとんどスペースのないステージ前まで勢い良く跳び出てくるようになった。小節の区切りや拍子みたいなものが一切ない中での軽快な動きには適度な緊張感も伴い、まるで舞踏の動きを観ているようだった。JOJO広重も体を大きく揺らしながら慎重に音を出している。ずっと聴いていたかったが、十数分くらいで西村卓也が演奏をやめてしまって一区切り。それからさらに短めのセットを二区切り。JOJO広重は区切りのたびにアプローチを変えていて、確か最後のセットではノイジーな音を短く切って鳴らすなどしていた。西村卓也の演奏はそれぞれのセットで特に変えていたということはなかったと思うが、一つのセットのなかで次々といろいろな技を駆使していた。3セットとも西村卓也が演奏をやめることで途切れてしまったのが残念だったけれど、それは激しい演奏で疲れてしまうからなのか? 演奏が終わったあと苦笑いしていたのがまた印象的。終わりかたが中途半端だったのを除けば申し分ない、すばらしい共演だった。

最後がJOJO広重 vs 青木智幸(UP-TIGHT)。これはギタリストどうしの対決である。しかも二人ともSG。こないだはじめて観たUP-TIGHTのライヴがすばらしかったので、この組み合わせも楽しみだ。はじまるなり青木智幸が激しいアクションでギターをかき鳴らす。すぐに1弦が切れてしまったが気にせず続ける。ギターを高く掲げたかと思いきや、ひざまずいて地面に這うようにして弾くといった状態で、まさにロッカー然としたアクション。JOJO広重も動き回りながら演奏している。青木智幸は激しくトレモロ・アームをアップダウンさせていて、結局、壊してしまったらしい。アームの先がボディについてしまっている。それをまたはじくようにして激しくアームのアップ&ダウンを繰り返しているのは、観ていて冷や冷やした。そのうち、2台つないでいたうちの1台のギターアンプに向けたマイクを取りあげてヴォイス・パフォーマンスをはじめる。すかさずマイクにエコーをかけるP.A.がナイス。JOJO広重も一瞬MC用のマイクをそばに寄せてヴォイスを発していた。しかし、青木智幸としてはそれがけっこう苦し紛れだったようであまり長く続かない。再びギターのアームアップ&ダウンを繰り返したり、アンプに向けてフィードバックさせたり、またヴォイス・パフォーマンスをはじめたりと落ち着かない。そのあいだJOJO広重はひたすら空間を埋め尽くすようなノイジーな音色を出していたが、やがて青木智幸がネタ切れという状態。20数分くらいで演奏が終わった。やはり早い段階で青木智幸がギターを壊してしまっていたのが痛い。激しくはじまったけれどもちょっと尻つぼみだった。

今日のセッションは三者ともちょっと中途半端な終わりかただったが、過去にわたしが観たこのシリーズのライヴに比べるとさほど激しいノイズの応酬でもなく、それぞれの意外性が出ていておもしろかった。また、共演者に対してのJOJO広重のアプローチの豊富さが際立っていたことも大変印象的だった。

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割礼

割礼のライヴを観に東高円寺U.F.O. CLUBに行った。今日のライヴはオムニバスアルバム「U.F.O. CLUB TOKYO JAPAN vol.2」発売記念で、同アルバムに収録されているうち5バンドが出演する企画である。

1番目はMOND'RIEN。ギター、キーボード、サックス、フルート兼ドラム、キーボード兼鉄琴という変わった楽器編成の5人組。今年の2月にダモ鈴木のバックで演奏していたのは観たことがある。単純なフレーズをえんえんと反復するところがジャーマン系っぽい。最初はずっとこうなのかと不安になってしまうぐらいに単純でストイックな演奏だったが、だんだんエネルギッシュになっていった。フルートよりドラム入りでやった曲のほうが良かったと思う。

次がヤングブギーズ。ステージの幕が開くと、マイクスタンドのセッティングが変。ヴォーカルのマイクは、スタンドをやたらに高くのばしたところから鋭角におろしてきて、ほぼ地面と垂直になるように上向きにマイクを差している。しかもそのすぐ横にもスタンドを天井近くまでのばしたマイクが置かれている。そっちはもしかしたら録音かなにかに使っていたのかもしれないけれど、それにしては置きかたが無造作だ。あとギターアンプ(JC-120)は側面を下にして縦長に置かれている。見た瞬間変なバンドだなと思ったけれど、演奏がはじまってみれば、なかなか素直なメロディの曲を演奏するギターロックバンドだった。ツインギターの厚みのある音色が前面に出ていて気持ちいい。ストラトを弾いていたギターの人は音色に相当こだわりがありそうだ。全然音楽性は違うけれど GYBE! みたいにドライバーを使って弾いたりもしていた。ドラムのタイトで乾いた音もいい。最初のうちは地味に感じたけれどあとのほうではかなりパワフルに叩きまくっていた。今日はじめて知ったバンドだけど非常に良かった。滋賀県の人たちだそうだ。

次がにせんねんもんだい。女性3人組(ギター、ベース、ドラム)のインストバンド。2年半前に知人のバンドと共演していて観たことがあるのだが、そのときはとにかくギターがすごくてびっくりさせられた。しかしバンド名といい、本人たちのたたずまいといい、とても頼りない感じがしたのも事実。その後ずいぶん精力的にライヴをやるようになり、CDも出し、けっこうな知名度のあるバンドになっているので、どんな感じになっているか楽しみにしていた。ドラムはずいぶん上手くなったし、ものすごくパワフル。ベースも、大部分は単純なリフの反復に徹しているけれど、けっこうな爆音で堂々とリズムを刻んでいる。ギターに関しては、正直なところ前観たときに感じた瞬発力みたいなものは薄れてしまったような気がする。でも演奏内容のヴァリエーションはだいぶ増えているし、力強くなったドラムとのからみもいい感じだった。バンドとしての成長が大いに感じられた。

次がおとぎ話。名前は聞いたことがある。1曲目はバンド名から想像できるような、わりと穏やかでキラキラした感じの曲だったけれど、終わってみたらかなり激しい疾走感あふれるロックバンドだった。最後から2曲目ぐらいで、リズムもぐしゃぐしゃにしてフリー・インプロヴィゼーションを繰り広げていた部分があったりもした。

最後が割礼。幕が開いたらいきなりドラムの松橋道伸がステージ前に立っていてMCをはじめる。U.F.O. CLUBと観客に対しての謝辞、そして「あしたも是非観に来てください」(翌日も「U.F.O. CLUB TOKYO JAPAN vol.2」の収録されている別の5バンドが出演するライヴがおこなわれる)と何度も言っていた。それから「ゲー・ペー・ウー」「風」「風船ガムのドジ」「星を見る」「リボンの騎士」と5曲一気に演奏。「リボンの騎士」のエンディングは宍戸幸司のギターソロがえんえんと続くのだが、今日はもういまいちテンションが上がりきらなかったような気がする。アンコールもなくこれで終わってしまった。5バンドも出演して持ち時間が短かったこともあるが、ファンとしてはちょっと物足りないライヴだった。

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THE SPECIAL VIEW / スカルボ

新大久保の水族館にスカルボのライヴを観にいった。スカルボが最後ということだけは聞いていたのだけれど、それ以外の順番は把握していなかった。THE SPECIAL VIEWも観たかったのでなるべく早く行こうと思っていたのだけれど、ちょっと仕事にはまってしまいお店に着いたのは8時半近く。ちょうどTHE SPECIAL VIEWの演奏中だった。

水族館には初めて行ったのだが、カウンター数席とテーブルが2つくらいあるバーの隅のほうが演奏するスペースになっている。水族館というだけあって、演奏スペースのバックには大きな水槽が2つ。カウンターにも小さいカメがたくさんいる水槽があって、壁には巨大なカメのオブジェがかかっている。けっこう狭い店なのに、ライヴの模様がテレビモニターに映し出されたりもしている。カウンターにはクリスマスツリー。こう書くとなんだかおしゃれなお店のようだけれど、どちらかというとモノがいっぱいあふれてごちゃごちゃした雰囲気である。お店自体はどうかわからないけれど内装はかなり古そう。

THE SPECIAL VIEWは3曲だけ観ることができた。THE SPECIAL VIEWはかなり歴史の長い3ピースのロックバンド。以前は研ぎ澄まされたような鋭さがカッコいいロックバンド、というイメージだったと思うのだけれど、だいぶゆるいリラックスした感じの演奏になってきているような気がする。客席とステージ部分が密接しているこの場の雰囲気のせいということもあるかもしれない。終わりから2曲目でカルチャー・クラブのDo You Really Want to Hurt Meのカヴァーをやっていた。これは10月頭の新宿ゴールデン街GARDENでの弾き語りライヴでもやっていたけれど、やさぐれた大胆な(?)解釈の日本語詞がおもしろい。でも、オリジナル曲のほうがセンヤさんらしいギターを聴くことができて、個人的にはそっちのほうが満足。

次は、あかさたな。全然知らないバンドなのだけれど、センヤさんが見初めて出演を誘ったバンドらしい。メンバーみんな若そう。MCで脈絡なく「すいません」とかすぐに言ってしまう妙に腰が低いヴォーカル/ギター(男性)、すごく細い体で元気にはじけて素っ頓狂な唄を唄うちょっと気の強そうなヴォーカル/ベース(女性)の対比がおもしろい。メンバーはあとギター、ドラムがいて、音楽性はひねくれたポップなパンクといった感じ。ドラムの人の叩くリズムがパワフルでありながらひねりもあっておもしろい。最初のうちはまとまりがないように見えた演奏もあとのほうになるほどだんだん良くなっていき、終わった時点ではうーむとうならされた。

そして最後がスカルボ。1曲目「吸血女にプロポーズ」。モモカワさんのギターの音が小さい気が。前に観たときはセンヤさんのギターのほうがむしろ小さめだったけれど、スカルボの場合それでちょうどいいぐらいかなと思う。二人ともけっこうギターの音色が硬質だから、ぶつかりあっているように感じるときもあるし、そんなツインギターのからみがスリリングでおもしろくもある。「キャフェの幽霊」では最後二人のギターがドラマチックに盛り上がっていく演奏にものすごく圧倒された。スカルボはなによりもモモカワさんの曲とパーソナルが魅力的なバンドで、もっと音のいいライヴハウスで観たいなという気もするけれど、こういう狭いお店も良く似合う。観ているほうもすごく感情移入して演奏に没頭してしまう。ステージが至近距離だから何が聞こえないというようなこともないし、だんだん音のバランスとかはどうでもよくなっていったのだけれど、終わってみたら最後の「Inst.」でセンヤさんが弾いていたフレーズばかりが特に頭に残ってしまっている。

終演後、ゆうこさん(モモカワさんの奥さん)と演奏スペースの奥にあるトイレへの行き帰りのときに会って大声で話をしていたら、ちょうどそこにあったステージのマイクがまだONになっていたらしい。店じゅうに話し声が聞こえてたのだろうか。そうは思いたくないけど、モモカワさんに「2人でなんか唄でも唄いなよ」みたいなこと言われてちょっとはずかしかった。モモカワさんにとても素敵なイラストがプリントされたスカルボのハガキをいただいた。客席では久しぶりに我々のギターの川田さんにお会いできて嬉しかった。新宿駅まで一緒に歩いて帰ったのだけれど、通りかかった新宿西口前で「私の志集」を売っている女性のことが話題にあがる。学生時代にも当時一緒にバンドをやっていた友達と「いつもいるよね」と話題にしていたのだけれど、それから十数年たった今でも変わることなく夜いつもここにいる。すごいと思う。しかし「私の志集」を買ってみる勇気は未だ出てこない。

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プレジデントガス

知人のバンド、プレジデントガスがなんと渋谷クラブクアトロでライヴをやることになったという。なんでも、もともと予定されていた出演者がキャンセルになったとかなんとかで、数週間前に急に決まった話らしい。実は知人のバンドといってもまだライヴに行ったことがない。チケット代がちょっと高いけれど、せっかくの大きいステージでのライヴだし、直接本人からお誘いをいただいたのも嬉しかったので観に行ってみた。

4Fのエントランスに着いたときには、もう演奏がはじまっているのが聴こえていた。急いでチケットを買い、チラシとドリンクチケットを受け取って5Fの会場内へ。ちょうど入場してドリンクをもらったところで1曲目が終わってしまった。客席はがらーんとしている。広いクアトロに10人ぐらいしかいない。しかもほとんどが知った顔。他の出演バンドの客とかもいそうなものなのに、この空き具合はいったいなんなのだ。周囲の椅子席も座り放題だったけれど、それではあまりにもさびしいのでフロアの中ほどへ。

プレジデントガスは、ライヴを観るのははじめてだけれど、自主レコーディングのCDはだいぶ前に聞いたことがある。そのころのベースの人は脱退してしまい、ギターを弾いていたghidさんがベースになっていた。曲調はストレートなロックンロールバンドのようでいて案外凝っている。歌詞がちょっとやんちゃな感じ。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、みんな上手い人たちが揃っていて安心して観ていられる。広くてゴージャスなクアトロのステージがよく似合っていた。ヴォーカルの人がMCで「俺たちの演奏1曲500円、高いですよ」とか言っていたけど、つまり見逃した最初の曲を含めて6曲ということか。遅れて入ったのが悪いのだが、人の少なさに緊張していたらあっというまに終わってしまった。演奏後は客席の脇のほうでインタビュー。こういうのははじめてみた。インタビュアーは今日最後にキーボード弾き語りで出演する女性であるらしい。たぶん若い売り出し中のミュージシャンなのだろう。

次に出演していたのはラップトップ3台を使ってノイジーな電子音などを発する2人組。前のほうに行って観ている客が2人。かなりさびしい。そのあとにも何組か出演者がいるはずなのに、その客もいないのかな。途中で会場を出て飲みに行ってしまったので、その後どうなったのかはわからない。

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UP-TIGHT / plugged ear

みみのことの川口さんが参加しているplugged earのライヴを観に東高円寺U.F.O. CLUBに行ってきた。最初に出演していたのはKENPEI-TAIという2人組のエレクトロニクス&ノイズユニット。ギターのコンパクト・エフェクターをたくさん使っている。破壊的な衝動とか熱さがこめられているわけでもなく、音響に徹したクールさがあるわけでもなく、ビール片手に妙にリラックスした雰囲気でえんえんとノイズをやっているのがちょっと変わった感じだった。

次はUP-TIGHT。名前は良く耳にするけれどライヴを観るのははじめて。アルケミー・レコードのコンピレーション、THE NIGHT GALLERYに収録されている曲を聴いてすごく気に入ったので、今日ライヴを観られるのを非常に楽しみにしていた。音はVelvet Undergroundをヘヴィーにして暗い部分を抽出したような感じ。形から入っていそうなタイプのバンドと言えばそうなんだけど、日本語詞でこれほど濃厚な雰囲気を出せるバンドはそうはいないと思う。ライヴもまったく期待を裏切ることのない見事な演奏だった。最後にインプロヴィゼーションで長くひっぱっていくような曲をやっていたが、やたらに音数を多くすることもなく緊張感を保ったまま十数分くらい(?)演奏し続けているのが、ものすごくカッコよかった。

最後に出演したのがplugged ear。それぞれ自身のバンドをやっているメンバーが寄り集まってかなり適当なノリで下世話なロックンロールをやっているバンド(部外者がこんなふうに言うのもなんだけれど)。しかし個性もアクも強いメンバーが退くことなくぶつかりあう思い切りのよさがなかなかカッコいいのだ。OVERHANG PARTYの福岡林嗣とみみのことの川口さんがギター/ヴォーカル、そしてゼニゲバやレニングラード・ブルースマシンのギターの田端満がなんとベース/ヴォーカルである。ドラムは一年前くらいからあだち麗三郎に変わった。俺はこんなもんじゃないのサックスの人だそうだ。

セッティングのときから「おまえ音ウルサイ!」とか言いあったりしていて、前に観たときもそんなやりとりしてたなぁと思い出す。でもはじまってみたらそんなこと言っている田端満のベースが一番デカい気が。今日の演奏は全般的にちょっと雑すぎる感じがしたのが正直なところだけれど、今までに観たplugged earにはないタイプの曲があったのが良かった。やたらにノリのいい客がいて、出演順が最後だったしアンコールにも1曲応じていた。あとは川口さんがいつものテレキャスではなくSGを使っていたこと、Chinese Rockのカヴァーをやっていたことぐらいしか覚えていない。

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嗚呼、お前もか・・・

劇団「宝船」旗揚げ公演「嗚呼、お前もか・・・」を観に下北沢「劇」小劇場に行った。劇団「宝船」は学生時代の同級生、新井友香が立ち上げた劇団である。彼女は過去にハイレグ・ジーザスやオッホなどの劇団で女優として活躍する以外にも、小劇場からメジャーな舞台までいろいろな公演に客演したり、脚本を書いたりしていた。映画やTVドラマにも出演している。でも正直言うと、わたしのイメージでは彼女は集団の上に立って人を率いていくようなタイプでもないような気がしていたから、自身の劇団を旗揚げしたのはちょっと意外だった。本当に自分がやりたいと思う公演をやるためには全部自分でやるしかなかったのかもしれない。

そのようなわけで、友香ワールド炸裂といった感じのはじけた舞台を想像していたのだけれど、しっかりとしたドラマ仕立てのわかりやすいストーリーを持つ芝居だった。観る前は、もっとわけのわからない、良くも悪くも壮大なものになっているかと思っていたのだ。芝居のあらすじで前世とか輪廻転生がどうこうということも書いてあったし。でも、かなり現実的な内容だった。現実にそのまま置き換えたらそれは確かに奇想天外としかいいようがないけれども。しかもドロドロとしていて暗い。その暗さは毒気とかいうようなエッセンス程度のものではなく、真実味を帯びた迫力のある暗さだった。だけど、きわめて俗なレベルで共感できるようなツボをついたセリフや、ときに思いがけないリアクションをとる役者の絶妙な演技に随所で大笑いしてしまう。キャスティングもすごく良い。特に小さい体で体当たりの演技を見せる高木珠里がすごかった。友香も出番は少ないけど、インパクトのあるいろいろな役柄で登場して一番笑わせてくれた。いつのまにこんなに貫禄のある役者になったんだろう。今までそんなに笑わせてくれる役者という印象でもなかったのだけれど。きっと、友香自身が書いた脚本だから、一番無理のないキャラクターを演じることができていたのだろうと思う。

友人の旗揚げ公演だから、どんなに誉めても誉めすぎではないという気持ちももちろんある。でもそんなこと抜きにしてもすごくおもしろかった。初日にもかかわらず百数十席が満席になっていたのも見事。次回の公演が早くも待ちどおしい。

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Gimmick of Logic

神田イゾルデに、Gimmick of Logicのライヴを観にいった。イゾルデは今年8月にオープンしたばかりのバーなのだが、店主がThe DoorsのコピーバンドをやっているかたでMOJOさんのサイトのBBSに何回か書きこみをされていたので、このお店の存在は知っていた。ぜひ一度行ってみたいと思っていたところ、期せずして友人のバンド、Gimmick of Logicがここでライヴをやることに。共同経営でやっている店主のうちの一人とGimmick of Logicのドラムの人が高校時代同級生だったらしい。ちなみにGimmick of LogicはまったくThe Doorsを彷彿とさせるようなバンドではない。一言で言えばプログレなんだけれども、歌謡曲のようなキャッチーさもあるし、ほかにもテクノポップとかフュージョンとか演歌とか、いろいろな要素がごっちゃになって凝縮している感じだ。

店内は白い壁に囲まれてすっきりとした内装。薄暗くてレコードのジャケットやポスターなどがいっぱい貼ってあるようなお店を想像していたが、そういう雰囲気ではない。ステージ設備はドラム以外の出音をミキサーでまとめている程度の簡素なもので、モニターなどはない。でも客席に向いたスピーカーはけっこう大きなものが置いてある。入り口の扉も厚いし、音の大きいバンドも問題なく演奏できそうだ。

メンバーの数のわりにやたらたくさんの楽器がある。ギターが6本、ベースが2本。なぜこんなにたくさん? と思ったら、ギターとベース1本ずつはお店のものだそうだ。それにしてもヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムの5人編成にしては多いのだが、今日はCD発売記念のワンマン・ライヴということで、あいだにアコースティック・タイムを挟む3部構成でやるとのこと。ベースのtobiさんはベース(フレットレス)の他にアコギを2本(うち1本は12弦)持ってきたらしい。弦楽器3本分のチューニングお疲れさま。ギターのはつみさんも、メインのTokaiのギター以外にエレガットを持ってきていた。今年の5月(?)に買ったばかりだそうだ。エフェクターもエレハモのSmall StoneとかFulltoneのオーヴァードライヴ他いろいろ使っていて、はつみさんの今までの印象からするとけっこう意外な感じの演奏を聴くことができておもしろかった。

ヴォーカルの人はほとんど唄のみで、たまにストラトやtobiさんのアコギも使っていた。とはいってもそんなに弾いてはいなかった気がするが、長めのライヴだっただけに、そういうちょっとした変化がアクセントになって良かったと思う。アコースティック・タイムのときキーボードの人が1曲メインで唄ったのも良かった。

最後のほうで、友川かずきの「犬」のカヴァーをやっていたのはちょっと驚いた。全然フォークっぽくなくアレンジされていてバンドの音によくはまっていた。しかし演奏以上にすごいのはあの歌詞を聴く人にまったく違和感をあたえることなく唄うことができるヴォーカルかもしれない。

ライヴ後はその場で打ち上げ。知っていてもほとんど話をしたことがない人や、会うのが一年以上ぶりの人がたくさん。食べ物もおいしいそうなメニューがいろいろあったのだが、買ってきても周りの人にも食べてもらうように勧めたりするのが苦手。3つ入りの手作りシューマイを一人で2つ食べてしまい、それ以上オーダーするのも気が引けてしまって、夜ご飯が結局それだけになってしまった。

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長沢哲 Solo Improvisation

荻窪のひなぎくに長沢哲Solo Improvisation「凪に眠る 波に遊ぶ vol.5」を観にいった。ひなぎくは友人の後藤さんがおととしはじめたカフェ・ギャラリー。元は梵天という30年以上続いていたジャズ喫茶があった場所なのだそうだ。お店が休みの水曜日によくライヴをやっているのだけれど、それ以外でも休みの日はギャラリーの搬入、搬出があるから店主の後藤さんはほとんど休む暇がない。

長沢哲さんはつい先日小沢あきとのデュオを観たばかりだが、今日はパーカッション・ソロである。哲さんのソロは今年の2月に経堂Appelで観ていて、そのときがvol.1だった。それがいつのまにかvol.5。回数を重ねてどのようになっているのか楽しみ。開演の7時半には間に合わなくてちょっと遅刻してしまい、静かに演奏しているところをそろーっとお店に入った。

セットは以前観たときよりシンプルで、胴のないヘッドだけのドラムが3つだけになっていた。とはいえ他にタムやシンバル、カウベル、その他の金物類もたくさん並べているし、右脇には鉄琴とウィンドチャイムがある。前半はほとんどマレットを使っていた。はじめのうちは一つのドラムやシンバルの連打に少しずつ変化をつけていくようなパターンを組み合わせて、リズムというよりも音色や余韻に注意を向けさせるようなミニマルな演奏をしていた。ひなぎくは線路沿いにあるので、頻繁に通る電車の音もサウンドの一部のように感じられる。次第にパターンを複雑にしていきつつ、区切りらしい区切りもほとんどないまま、張り詰めたような演奏が数十分続く。とてもストイックな演奏だが、少しずつの変化に集中して聴いていると全然飽きない(ぼーっと聴いていたら寝てしまいそうだけれども)。

前半が終わったところで客席を見まわすと、LA CAMERA常連の海野さんがいる。少年王者舘の天野天街さんの講座で暁さんと一緒だった縁で、ずっとDMをもらっているそうだ。でも普段ライヴはあまり行くことがなくて、暁さんの展覧会は観にいったけれど哲さんのライヴは初めてだとのこと。海野さんと最近観た映画の話などで盛り上がった。海野さんはFILMeXでウド・キアーのサインをもらったそうだ。でも本当はガイ・マディンのサインが欲しかったらしい。海野さんは本当にマメにいろいろな催し物をよく観ている人で、LA CAMERA以外でも映画や芝居などでばったり会うことがある。しかしライヴで会うとは実に奇遇だ。しかもお互いに暁さんの知人であることを知らなかったわけだし。ちょっと嬉しいびっくりだった。

後半は鉄琴の演奏からはじまり、そのあとヴァイオリンの弓でシンバルや鉄琴をこする演奏。シンバルを弓で弾くのは、神経に触るようなちょっときつい音がする。哲さんの演奏は全体的に心地良い音を響かせるような部分が多いから、その中ではアクセントになっているのかもしれない。それからブラシを使った演奏に移行。前半よりも色々な手法を駆使して、わりと区切りがはっきりした展開になっている。しかし、ここからここまではこうという感じで途切れると、そこでちょっと集中力がそがれてしまうような感じもある。最後のほうはまたマレットを使うパターンが中心になった。前半に比べるとリラックスした感じで、電車が通る音を聞きながらタイミングをはかっているのかなと想像してしまうような場面もあっておもしろかった。

帰り際に、哲さんに「今回は鉄琴を使う場面が少なかったですね」と話したら、「鉄琴は好きなので、いつもはつい長いこと演奏してしまいがち」と言っていた。しかし哲さんのパーカッションは、鉄琴のようなメロディー楽器を使わなくても旋律が浮かび上がってくるような感じがする。やはりたくさんのドラムを並べているからチューニングも慎重だろうし、音の強弱や細かい刻みでパターンを変えていく演奏スタイルには映像的なセンスも感じられる。「凪に眠る 波に遊ぶ」という情景がまさにしっくりくるような演奏だった。

追記:
その後、このblogを読んでいただいて哲さんからメールをいただきました。いくつか勘違いしていたことがありました。
・2月のappelでのソロはvol.1ではなくてvol.3
・先月のデュオと今回のソロでの使用セットは、シンバルが2枚ほど増えた以外はほぼ同じ
とのことです。他にもいろいろパーカッションのことなどを教えていただいたので、次回書くときに役立てようと思っています。どうもありがとうございました。

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