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シカラムータ / 躁鬱の宴

シカラムータのライヴを観に大塚welcome backに行った。このライヴハウスに来たのははじめて。店内は(よくあるロック系のライヴハウスなどと比べると)あまり暗くなくて、飲み屋っぽい雰囲気。会場にたどりついたのは開演ぎりぎり。最初に出演する躁鬱の宴のメンバーが、受付の脇にある楽屋からまさにステージに出ていくところだった。場内にはすでに立ち見の人もいたけれど、一応席の予約というのをしてあったので、スタッフの案内にしたがって席につく。しかしそれがなんとスピーカーのすぐ前の位置。スピーカーといっても、TVモニターを置いた鉄骨の上下によくスピーカーの表に貼り付けてあるような細かい穴のあいた黒い布が貼ってあって、その後ろにどうやら小さいスピーカーがあるのかなって感じのもの。別に予約席と張り紙がしてあったわけでもないし、真ん中の前のほうにも空席があったのだけれど、案内されてしまったものだから移動するのもどうかと思っているうちに演奏がはじまった。

躁鬱の宴のメンバーは、十時由紀子(ヴォーカル/コンサルティナー/アコースティック・ギター)、壷井彰久(エレクトリック・ヴァイオリン)、佐藤真也(ピアノ)、くどうげんた(パーカッション)の4人。タンゴっぽい雰囲気を感じさせる速いリズムの曲でライヴははじまった。くどうげんたのパーカッションがすごい。コンガ、ジェンベ、多数のシンバルや小物、それにエレクトリック・パーカッションも用いて、すばらしいテクニックの表情豊かな演奏だった。しかしパーカッションの音が大きすぎる。他のメンバーも実力のある人たちなのに、パーカッションの派手さと音量の影に隠れてどうしても単調に聴こえてしまう。ヴァイオリンの壷井彰久も、ところどころ流麗な速いフレーズで見せ場をつくってはいたものの、今までポチャカイテ・マルコやその他のバンドで観たのに比べると精彩を欠く演奏に感じられた。2曲目ぐらいにやったインストの静かな曲ではくどうげんたの音数が少なくて、まずまずのバランスで聴くことができたけれど、その後もリズムの派手な速い曲になると聴いていて辛かった。他のライヴハウスでスピーカーのまん前で演奏を聴くはめになっても、ここまでひどい思いをしたことはない。アコースティック楽器の音量をPAで上げるのには限界があるだろうし、お店側としてはあれでベストを尽くしていたのだろうけれど、あまりいい設備のハコではないなと思う。会場の後ろのほうではだいぶましだったかもしれないが。文句ばかり書いているけれど、唄モノ、インスト織り交ぜ、いろいろな民族音楽の要素が混じった音楽性はなかなかおもしろく感じた。それにコンサルティナーという楽器を観たのははじめて。六角形のボタン式蛇腹楽器で、バンドネオンと似ている。

躁鬱の宴の演奏は1時間ぐらい。それからピアノを脇のほうに動かし、大量のパーカッションを片付け、ドラムのセッティングなどをするのに30分程度。

今日のシカラムータは男祭りと題して、大熊ワタル(クラリネット他)、桜井芳樹(ギター)、関島岳朗(チューバ)、吉田達也(ドラム)、佐藤芳明(アコーディオン)の5人編成。去年の10周年記念ライヴのときにゲスト出演していた佐藤芳明がまた観られるのが嬉しい。全編に渡ってこのメンバー構成での演奏だった。最初のほうは聴きなれない新曲が多かった。MCでも「今回初めて演奏する曲」、「抱瓶(高円寺の沖縄料理屋 わたしは観ていないのだけれど3月にシカラムータがライヴをやったお店)で初めて演奏した曲」などと紹介。また、佐藤芳明のオリジナル曲「サラエボの花」を演奏した。大熊ワタルがこの曲について佐藤芳明に話題を振ると最初は「話すと長くなるので」というような返答。メンバー(桜井芳樹だったかな?)から促され、手短に「サラエボのジャズ・フェスティバルに出演したときに思ったことをもとに作った曲」というような紹介をしていた。シカラムータの曲の中で演奏されても全然違和感がなく、とてもいい感じだった。その後はシカラムータの最新アルバムからの曲が続く。「STARA PLANINA」、「光線とフイゴ」、「眠り男の遁走」、そして「不屈の民」。これで終了して楽屋に戻ろうとするにも、前のほうのテーブル席の間にも観客がいるものだからステージから降りることができない(客席を通らないと楽屋に行くことができない)。客席からの拍手とアンコールの掛け声に応じて、そのまま「アルバート・アイラー・メドレー」を演奏。シカラムータは1時間超の演奏で終演は10時過ぎ。最後ちょっと時間を気にしていた様子だった。

気になる音のバランスは、躁鬱の宴のときよりもだいぶいい。アコーディオンがちょっと小さめ。チューバの音が大きかったけれど、サックス、トロンボーンがいない今回の編成ではそれもまた良かったかなと思う。ドラムの吉田達也はやや力をセーヴしながら叩いていたかもしれない。やはりPAのことを気にしながら聴いていていたものだから、いまいち集中して入り込めなかったのは否めないけれど、大好きなシカラムータのライヴだし十分に楽しめた。シカラムータはまずまずのバランスで聴くことができたことから考えると、躁鬱の宴は、アコースティック楽器を多用するバンドにしてはかなり変わったアレンジを施している難しいバンドだということは言えそうだ。それが良いのか悪いのか、今日観ただけではなんとも判断しがたい。もっとPAのいいライヴハウスでだったらまた観てみたい気がする。

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