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ヨ・ラ・テンゴ

ヨ・ラ・テンゴの演奏による "Sounds of Science film show" を観に六本木ラフォーレ・ミュージアムに行った。フランスの映像作家であるジャン・パンルヴェが1920-80年代にかけて制作した深海生物の生態を収めた映画をバックにヨ・ラ・テンゴが生演奏するという特別企画。ヨ・ラ・テンゴの通常のライヴは今までの来日時にすでに何度か観ているのだけれど、今回はどうなることやら、事前にあまり情報を入れることもなく当日を迎えた。

六本木のラフォーレ・ミュージアムに来たのははじめて。最寄駅は南北線の六本木一丁目なのだけれど、降りたこともない駅だ。会場の建物もとても立派で、新鮮な気分というか慣れなくて妙な気分というか。

会場のロビーに入ってすぐにLou's Pale Horseのベースの松田さんを発見。「ねおじさんとかめさん見かけたよ」というので、さっそく場内へ。このライヴには数年前に転勤で九州の小倉に行ってしまったねおじさんも観に来ているはずなのだ。その他にも友人がたくさん集結するので、この日が来るのが待ち遠しかった。会場内でねおじさんご一行を探していたら、我々のギターの川田さんを発見したので、ロビーに出てしばらくお話し。川田さんは前日のヨ・ラ・テンゴ渋谷クラブクアトロ公演も観に行っていて、非常に良かったとのこと。ギターのアイラが使っている「ジャズマスターかストラトキャスターが欲しくなった」というのでギター談義で盛り上がる。

場内に戻ると、さっきは会場を一回りしてもみつけることができなかったねおじさん、かめさん、しょうさん、ユキコさんの後ろ姿を発見。そろそろ開演だと思ったので声をかけずに自分が確保した席に座っていたら、かめさんがこちらのほうを振り向いたので、離れたところから手を振ってお互いを認識。

やがてヨ・ラ・テンゴの3人が登場し、上映と演奏がはじまった。演奏はステージ正面、スクリーンの下でおこなわれていたので3人の動きもけっこう目に入ったけれど、映画が予想していた以上にすばらしくて、ずっと映像を注視していた。生演奏と一緒に流れるのだから、もっとイメージ映像っぽいものを想像していたのだけれど、極めて学術的なドキュメンタリー映画だった。スクリーンの左右には字幕用の電光掲示板も設置され、ハイアス、ウニ、タツノオトシゴ、クラゲ、タコ、カエデなどといった海洋生物の生態が詳しく紹介される。それぞれの生物ごとに、10分ぐらいの短編映像作品になっている。てっきりヴィデオ・プロジェクターでの上映かと思っていたのだけれど、ちゃんとフィルムで上映されていた。

海の中の変わった生物のゆったりとした動きはとてもユーモラスで幻想的。最初のハイアスという生物についての白黒の作品は、古そうなフィルムの質感が美しくて見ほれてしまった。後のほうに上映された新しめの作品ほど生々しさが目について、幻想的というよりはヌルヌルしていてなんかいやらしいというかエロティックというか。でもそれはそれでおもしろかった。電光掲示板に出る字幕は全然まともな日本語になっていない。しかし、家内製手工業的に素人が訳したような拙い日本語訳のとぼけっぷりは、生真面目な学術的雰囲気を緩和しているかのようで、それも一興だった。もともとがフランス映画なのでフィルムの中には英語の字幕も出ていて、日本語の字幕と英語の字幕と両方追いながら忙しく観ていた。

そのようなわけでヨ・ラ・テンゴの演奏のほうにはそんなに集中していなかったのだけれど、3人ともいろいろな楽器をとっかえひっかえしつつ、決して映像のBGMに徹することのない彼ららしいサウンドを奏でていたと思う。ドラムが普通に8ビートを刻むようなロックバンドらしい演奏から、サンプラーを使った効果音の味付けまで。最後のほうはギターのフィードバック音で激しく盛り上げていた。

上映&演奏は全部で1時間半強。映像の尺は当然決まっているだろうから、映像なしでアンコールなどもあればいいなと期待していたのだけれど、それはなかった。まぁ、普通のライヴが観たければ他の日にも行くべきだろう。

終演後はねおじさん、ユキコさん、しょうさん、かめさんと四谷のメキシコ料理屋に行った。かめさんの知っているお店だったのだけれど、おいしくて雰囲気も良くて値段もそんなに高くない。久しぶりに集まるメンバーで話も尽きない。それから、Lou's Pale Horseが出演する「ブルーベルベットナイト50回記念パーティー」を観るためにみんなで渋谷の青い部屋に移動。オールナイトのイヴェントだけれど事前の情報では松田さんの出番は11時台だという話。

一番最初は、元レッド・ウォリアーズのギタリスト、木暮武彦のソロだった。一人でギターの音をディレイで重ねながらのインストゥロメンタルの演奏。淡々としていてそんなに特別な工夫に富んだものではなかったけれど、大物ギタリストの意外なパフォーマンスを観ることができて興味深い。20分くらいの演奏。

次はイヴェントの主催者でもある鳥居賀句が率いるLoaded。松田さんはこのバンドでもベースを弾いている。ちょっとがさつだったけれど勢いのある演奏。途中からゲストのPANTAが加わった。こんなに狭い段差もないライヴハウスでPANTAを間近で観ることができてちょっと感激。カッコ良かった。

そして次がLou's Pale Horseの出番だったのだけれど、しょうさんはLoadedの途中で帰り、ユキコさん、かめさん、ねおじさんもLou's Pale Horseを1曲観て帰った。わたしは終電までまだ間があったので最後まで観ていくことにする。Lou's Pale Horseは3月のライヴを最後にギターのウエさんが脱退し、現在はLouさん(ヴォーカル/ギター)、松田さん(ベース)、久保田さん(ドラム)の3人編成。3人になって今までよりも荒削りにロックっぽくなった気がする。Louさんの弾くギターはエレアコだし、ロックといっても全然うるさいサウンドではなく、あくまで唄中心のバンドなのだけれど。ウエさんのギターはツボを押さえた職人的な演奏で、ある意味ポップスっぽい味付けだった。ウエさんが脱退してしまって残念と思っていたけれど、シンプルな3人編成のLou's Pale Horseは、むしろわたしの好みにあっているかもしれない。ただ、そのためにはLouさんにもっとギターをがんばってもらわないと。2曲目か3曲目ぐらいでやったアルペジオの曲ではギターの音が良く聴こえていたけれど、唄いながらのカッティングは、それ1本で上物としてバンドのサウンドを支えるには、まだちょっと心もとない。今後に期待しよう。

幸いLou's Pale Horseを最後まで観ても十分終電に間に合う時間だった。でもセッティングの入れ替えがあって次のバンドがはじまるまでいると危ない。夜中に出演するバンドも観てみたいのがいろいろあったのだけれど、場内はかなり混雑していて、とても一人で夜通し過ごすのは耐えられそうにないので、松田さんにちょっと声をかけて退散した。今日は実はヨ・ラ・テンゴのフィルムショウの前にもいろいろと用事があったので、ものすごい盛りだくさんの長い一日だった。

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