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カエターノ・ヴェローゾ

カエターノ・ヴェローゾのコンサートを観に東京国際フォーラムに行った。東京国際フォーラムのホールは何度か行ったことがあるけれど、今日の会場ホールAはおそらく今まで入ったことがない。わたしの席は23列目だったけれど、軽くその3倍くらいは後ろに席があるという巨大なホール。すぐ前が通路というなかなか良い席だったのだけれど、ステージはかなり遠く感じた。

バックのメンバーはチェロを中心にギターx2、ベース、ドラム、パーカッション。最初数曲は、クラシカルな演奏をバックに素直に良い曲を美声で唄いあげるまったりした雰囲気に、やばい、眠くなりそう、と思ってしまった。しかし、途中からチェロの人とデュオの演奏になったり、そこにギターの人が加わったりというようなメンバー構成の入れ替えがあり、ゆったりとしつつも穏やかな起伏のある唄と演奏にだんだんと惹きつけられていった。かすかな音量で伸ばし続ける声を微妙にコントロールして振るわせるようにして唄い、そんなふうにして曲が終わっていくときは本当にうっとりするような美しさだった。

バックバンドのギターの人は、一人はアコースティック・ギターでテクニカルな演奏が主体、もう片方の人はほとんどエレクトリック・ギターで、ファンキーなカッティングをするときもあれば、曲調を壊さない程度の控えめな音ではあるがちょっとノイジーな音を持続させたりもしていた。カエターノ自身も、ギターを弾きながらさらっと唄うときもあれば、ギターを弾かずに感情をたっぷりこめて唄うことも。中ほどでカエターノの弾き語りのみで演奏するコーナーがあって、個人的にはそのあたりが一番良かった。再びバックのメンバーが加わってからは、激しい調子で大きな声を張り上げて唄う曲もあれば、ひたすら美しい美声でゆったりと唄いあげる曲もあるといった具合で、最初のうち感じていたようなまったりとした雰囲気は全くなくなっていった。

アンコールの最後の曲ではカエターノが「ウタッテクダサイ」って日本語で呼びかけながら演奏していたけれど、会場内はわりとシーンとしていて、場内で歌っている人の声はかすかにふわっと聴こえる程度。さすがにポルトガルの曲でいきなりウタッテクダサイと言われてもなかなか難しいものが。全体が盛り上がっていればわからなくてもハミングかなにかで適当にあわせたりできたかもしれないけれど、静かだったのでそれもできなくて固まってしまった。中盤でも、唄いながらステージの縁の部分まで出てきてポーズをとったりするような場面があったのだが、クラシカルな高尚な雰囲気のなかでいきなりそれを乱すかのようなアクションに対して、会場のノリとしてついていくことができていない感じがしていた。カエターノは日本の観客のことをどう思ったのだろうと、なんとなく心配になってしまう。

実はわたしはカエターノ・ヴェローゾの音源は70年代初頭ぐらいまでの古いものしか持っていないので、知らない曲が多かった。せめて最新アルバムぐらいは聴いておいたほうがより楽しめたと思う。開演前に周囲から聴こえてくる会話では3日連続で来ているような熱心なファンもたくさんいそうだったが、とにかくキャリアの長い大物のコンサートなだけに、そこまで熱心でもない客がかなり多かっただろう。カエターノの唄は本当にすばらしくて満足したのだけれど、ふだん観にいっているようなライヴの雰囲気とはあまりにも違っていて、なんとなく心から浸ることができないような、よそよそしい気分のままコンサートが終わってしまった。でも、今後そうそう来日してくれることがあるかどうかわからないし、観に行って良かったなと思う。

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