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夜の彷徨

「またりさま全公案連続演奏会」のあとは、桜木町ののげシャーレにギタリストの増田直行さん作・演出の公演を観にいった。案内だけではよく内容がわからなかったのだけれど、第11回横濱演劇祭に参加している公演のようなので、一応演劇公演なのだろう。「翌日のセルリアン・ブルー」というのが劇団名で、「夜の彷徨」というのが公演タイトルらしい。出演は、夏木俊成(言葉)、唯玲(言葉・美術)、久田祐三(パーカッション)、山内勝司(エレクトリック・ヴァイオリン)、増田直行(ギター)、渡辺佐和子(書)。

のげシャーレは、横浜にぎわい座という寄席などをやっている建物の地下2F。その日は寄席の公演はないみたいだったけれど、建物に入った切符売り場のところで、誰もいないのにラジカセでいかにも寄席の会場で流れていそうな和風の音楽を流している。とても妙な雰囲気。エレベーターで地下に降りると、階上とはまったく違った様子のコンクリート打ちっぱなしのモダンな空間が現れた。すぐに増田さんを発見したので挨拶。増田さんはこの公演のためになんとアコースティック・ギターを買ったそうだ。お話ししているうちに、まわりのコンクリートの壁一面が鯨津朝子さんのインスタレーションになっていることに気づく。「あれ、これは鯨津朝子さんのドローイングですね」と話すと、増田さんも鯨津さんのことをご存知の様子。鯨津さんは海外の活動が多くて、長いことお会いしていない。ここで鯨津さんの作品に会うことができてとても嬉しい。コンクリートの壁一面のドローイングは、掃除しても消えないように表面が加工されている。ところどころドローイングした雑誌の小さい切り抜きをタイルのようにして埋め込んでいる部分もある。

受付を済ませて場内に入ると、舞台セットらしいものは特にない、がらーんとした真っ黒な空間。若尾伊沙子さんに遭遇。昼に「またりさま」を観てきた話をしていると、「行きたかったんですよ」と話に加わってくる人が。ヴォイスパフォーマーの富士栄秀也さん。若尾さんのお知り合いだそうだ。それから、サノトモさん、佐藤さんにも遭遇。

公演は、夏木俊成、唯玲による、芝居を観た帰りに隣の駅まで歩こうとしてなかなか行き着かないストーリーの朗読が中心。そのストーリーは一人称で日記か随筆のような文章で語られる。二人とも同じテキストを読み上げるが、同じテキストの中で前に戻ったり、飛ばしたりもしながら朗読していて、知らない道や見覚えのある道を行ったり来たりするストーリーの内容にリンクするかのよう。唯玲は朗読だけでなく、毛糸玉を解きながら、糸で地図を描くようにして舞台上を縦横無尽に動き回る。渡辺佐和子は、大きな半紙を舞台に3枚並べて、ものすごく太い筆を使って墨で線を引く。唯玲の糸はその書の上にも伸びていき、またその上に墨が垂らされたりもする。

ミュージシャンは朗読の声を掻き消さないように即興演奏。エレクトリック・ヴァイオリンはドローン風の持続音中心。パーカッションは叩くタイプのもの以外にも、カリンバ、口琴、チベタンベル、その他多くの小物を使用。増田さんのアコースティック・ギターは、ミュート気味に押さえた弦を激しく掻き鳴らすパーカッシヴな音を強調する奏法や、不協和音のコード弾きなど。3人のアンサンブルによるBGMというわけではなく、各々が朗読や書、美術などと対等なパフォーマーとして、様子を伺いつつ音を出したり出すのをやめたりしているような感じ。でもメタル・パーカッションとギターの弦をこする音でリズムを合わせて、踏み切りの閉まっているときの音を模したようなサウンドを作り出している場面もあった。

増田さんは、最後にメンバー紹介したあと、謙遜して「ささやかな公演」だとおっしゃっていた。皆が完全な一つのものを目標につくりあげていくというものではないし、とはいえ、各パフォーマーがそれぞれ存分に力を出し切ることができていたとも思えない。それでも、全体として十分に興味深いレベルのものに仕上がっていたと思う。朗読されるストーリーが軸にはなっているけれども、朗読もその他の出演者と対等の一つのパフォーマンスのようなものだと言うことができる。なので、演劇というよりはいろいろなジャンルのパフォーマーによるコラボレーション公演として捉えるのがわかりやすい。でも一つ軸になるストーリーがあることによって、舞台公演らしい求心力も生まれていたところがおもしろかった。道にひたすら迷い続けるストーリーは、コラボレーションのネタとして良くできていたと思う。特に唯玲による美術はシンプルだけれど視覚的に印象的で、ストーリーとの絡みという点でも非常に効果的だった。

帰りの電車では若尾さんとお話し。わたしはあまりジャンルのこだわりなしにいろいろ観てはいるけれど、表現行為としてなんでも一緒くたに捉えてしまう大雑把なところがある。その点、若尾さんはもっと細かくいろいろと観ていらして、ダンスのこととか、書のこととか、興味深い視点にいろいろと気づかせてくださった。

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またりさま全公案連続演奏会

方法マシン特別仕様「またりさま全公案連続演奏会」を観に、門前仲町の門仲天井ホールに行った。方法マシンというのは、もともとは中ザワヒデキ(美術家)、松井茂(詩人)、三輪眞弘(作曲家)がメールマガジンとして発行していた機関誌「方法」で募集されて集まったグループ。当時の趣意書によれば、「方法絵画、方法詩、方法音楽をはじめとする方法芸術及び方法主義的であると解釈できる様々な芸術作品を、身体運動を通して現実空間に実現する機械もしくは仕組みである」とのこと。

機関誌「方法」は、1号から最終号の42号までリアルタイムで購読していたので、方法主義について、また、方法マシンの設立の経緯や活動については把握していたのだけれど、公演を観るのは今回がはじめて。三輪眞弘作曲「またりさま」についても、その「方法」という機関誌によりだいぶ前から知っていた。そこに以前書かれていたコンセプトによると、「またりさま」とは、「秘境マタリの谷に伝わる風習」であり、「猿楽の守護神とも伝えられる摩多羅(またら)神をまつった神殿の境内で、8方位の神々が休むことなく『鈴カケ』の規則に従って演奏し続けている」ものであるらしい。とはいえ実際の公演の様子については実際に観てみるまで想像がつかなかった。今回の公演は、方法マシンが他の方法芸術作品をとりあげることはせずに、「またりさま」のみを完全な形で出来る限り高速に正確に演奏するというものであるらしい。

開演間際に会場にたどりつくと、エレベータを待つ人が狭い建物の入り口にあふれている。エレベータに乗って門仲天井ホールの8Fにあがると、狭いところに人があふれていて、受付に並ぶ列もつくることができないような状況。わたしはエレベータの扉近くに乗っていてまっさきに降りることができたので、比較的すんなり受付を済ませることができたが、受付はちょっとした混乱状況だった。

舞台を取り囲むように設置された客席はほとんど埋まっていて、奥のほうで一番後ろの席を確保。まもなく当日券の人も入ってくると、桟敷も含めてほぼ満席になった。100人近い(それ以上?)動員にびっくり。もっとも、アフタートークで出演する中沢新一のファンも多そうだ。

公演は入場整理に手間取っていたこともあり、多少押してはじまった。濃紺のつなぎの上下で衣装をそろえた方法マシンのメンバーが入場。8人がステージに輪になって座り、また、別のメンバーが公演についての説明をおこなった。「対称形姉」「対称形妹」「双子兄」「双子弟」「星相の考案」といった考案を連続して演奏するとのこと。

演奏者は、それぞれが反時計廻りに向かい、前の人の肩にそれぞれ手をかけている。右手には鈴、左手にはカスタネット。各演奏者の右手と左手には演奏を記録するための細いケーブルがついている。リーダー(?)の「またり~~~~いっ、はいっ」の掛け声で演奏がはじまった。リーダーから順番に、反時計廻りに順番に前の人の肩を叩いて鈴またはカスタネットを鳴らしていく。8人いるので、一定のリズムで進めば8ビートのパーカッションの演奏を聴いているような。しかし、もたったり速くなったりして、なかなか一定のテンポでは進まない。正直言うと、高速にやるということをうたっていたわりにはもどかしい感じのテンポである。速度はともかくとして、テンポが一定であるかどうかはについては特に意味を持っていないのかもしれない。しかし、カスタネットなのか鈴なのかを間違えると大変。間違えると、なんとその場でやりなおしをしていた。やりなおすたびに演奏者が疲れてどんどん消耗していくのを観てとることができる。やっていることは単純なのだけれど、その法則をすべて体にしみこませて間違えないように演奏するのはとても大変そう。相当な集中力を要することは想像に難くない。間違えなければ全考案通して10分くらいのところを、20分以上かけて演奏しきった。

その後は休憩を挟み、中沢新一(宗教学者)、沼野雄司(現代音楽評論家)、三輪眞弘(「またりさま」作曲者)、鶴見幸代(方法マシン代表)、足立智美(司会、音楽家)によるアフタートーク。もともと機関誌「方法」で「またりさま」を知ったわたしとしては、そのコンセプトのなかで語られる宗教的な要素については、ちょっとしたユーモアのようなものとしてとらえていた。しかし中沢新一がいたこともあり、「またりさま」が「ありえたかもしれない宗教儀式」ということで話題は進行。「またりさまの公演をやるのにもっともふさわしい場所はどこか」など、どこまでまじめに話しているのかわからないトークだったけれど、それはそれでおもしろかった。トークの最中に地震があって、あまり新しくない、縦に細長い建物の8Fだったからかなり揺れた。コンクリートの天井には重そうな照明装置もたくさんぶらさがっているので、けっこう危険。

終演後、会場では8人がそれぞれカスタネットまたは鈴をならした記録がすべて1と0であらわされたプリントが配布された。「鈴カケ」の規則については会場で配布されたパンフレットに詳しく書かれていて、1と0によって書かれた全考案の楽譜も載っているから、それと付き合わしてみれば、本当に間違いなく演奏していたかどうかがわかる。ところどころちゃんと記録できていなくて「?」になっているところもあるのだけれど。

終演後、中ザワヒデキさんに挨拶。「方法主義と宗教って相性的にはどうなんですかね?」って尋ねてみたところ、「相性悪いでしょう。だって方法主義は神秘とかそういうのは否定しているし。」とのこと。もともとのわたしの認識は特に間違っていなかったようで安心。「やりなおしがあるのはびっくりしました」とお話ししたら、「それが決まったのはけっこう公演近くなってから」だそうだ。もっとゆっくりやれば確実に間違えないでできるそうで、テンポをどれぐらいにするかについても試行錯誤があった様子。

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渚にて / The Stars

The Starsのライヴを観に初台のTHE DOORSに行った。たどりついたときはThe Starsのセッティング中。もうまもなく演奏が始まりそうな雰囲気。

The Starsのライヴを観るのは去年の10月以来。最初2曲くらい、わりとゆったりとしたテンポの曲が続く。どちらも聴き覚えがない。最近の曲だろうか。去年The Starsはなんと毎月ライヴをやっていて、わたしは半分以上は行っていたけれど、わりとアップテンポの激しめの曲が多い印象だった。その頃はその頃で、「最近は激しめの曲が多いな」と思いながら観ていたのだけれど、今回最初2曲聴いて思ったのは「昔のThe Starsはむしろこんな感じのゆったりした曲が多かった気がするな」ということ。ゆったりした曲で聴かせる石原洋の低いヴォーカルがとても良い。激しい曲でシャウトするようなヴォーカルよりも、こういうほうがあっている。

その次はTwinkle Outside。曲の最後に向かってくずれそうな勢いで疾走していく演奏に圧倒される。栗原ミチオのクールなたたずまいで弾く激しいギターソロがすごかった。そのあと、めずらしく石原洋が「The Starsです。」とMCをしていた。Small White Wonderでは一気に去年の激しめのライヴのノリを取り戻す。激しいといってもメンバーが派手に動き回ったりというのではないのだけれど。

その次はとても美しいスローテンポのバラード。これもまた聴き覚えのない曲だったが、地を這うような石原洋のヴォーカルがちょっとロマンチックな雰囲気も醸し出していて、非常に良い曲だった。次は一転してミディアムテンポの明るい曲。おそらくカヴァーだろう。そして最後にもう1曲はぎれのよいミディアムテンポの曲。

わたしにとっては久しぶりのThe Starsのライヴで、知らない曲が多くなっていてびっくりしたけれど、静動おりまぜたヴァラエティに飛ぶ選曲で非常に楽しむことができた。演奏そのものは、去年頻繁にライヴをやっていたときに比べるとラフな感じだったけれど、それもまた混沌とした雰囲気を生み出していて悪くなかった。

次に出演したのは渚にて。ライヴを観るのははじめて。メンバーは、柴山伸二(ギター/ヴォーカル)、竹田雅子(ドラム/ヴォーカル)、そして新メンバーとして紹介されたタシロタカユキ?(ベース)の3人。演奏は、やけにハイハットの音が大きいのが気になった。というよりはハイハット以外の音が弱いというか。ハイハットは持ち込みのものに変えていたようだし、何かこだわりがあるのだろう。でも正直なところかなりアンバランスに感じたのも事実。最初のうちはどうも慣れなくて、ドラムにばかり注目してしまった。

スローテンポでメロディアスな曲が多い。柴山伸二は歌詞をしっかりと聴かせるようなヴォーカル。唄のときはギターのヴォリュームをかなり小さくし、唄をしっかり聴かせることに集中している様子。しかしギターソロになると一気に音量を上げ、心地よくディレイがかかった美しい音色でシンプルな旋律を奏でる。間奏ではちょっとGalaxie 500のような雰囲気も感じた。曲によっては竹田雅子が唄う。竹田雅子がヴォーカルをとるとがらっと雰囲気が変わるが、そのときも柴山伸二はギターの音をかなり絞っていた。唄を大事にしてしっかりと聴かせる、強い意志を感じる演奏だった。最後、声援にこたえて1曲アンコール。「現在のメンバーで練習している曲はこれで最後です」というようなMCをしていた。東京でのライヴの機会がそう多くないバンドなだけに、The Starsの対バンで今回観ることができて良かった。

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ASTRO+川口雅巳

ASTRO+川口雅巳他、デュオ3組のライヴを観に高円寺のペンギンハウスに行った。

一番目はSACHIKO(OVERHANG PARTY)+柴田奈緒(DOODLES)。最初はSACHIKOがディレイをかけてヴィオラを演奏。特にリズムやメロディを意識しないアブストラクトなサウンド。柴田奈緒のドラミングも不定形のリズム。それが一段落して、次はSACHIKOはベースを演奏。ピック弾きの歪んだ音でえんえんと2コードでリズムを刻む。ドラムは ひたすら8ビート。その次はSACHIKO指弾きでベースを弾き語り、そしてドラムは3拍子のパターン。柴田奈緒は8ビートのパターンよりも3拍子のほうが生き生きと叩いていたと思う。

次はASTRO(長谷川洋)+川口雅巳(みみのこと)。川口さんはおもにみみのことでも演奏している曲をギターで弾き語り。唄以外のところはみみのことで演奏するときよりも大胆にくずして演奏。ASTROはアナログ・シンセサイザーにエフェクターをかけて、シンセノイズっぽい音を発し続ける。客席の端のほうにはラックマウントのエフェクターもたくさん置いている。エフェクターのつまみを操作しながら少しずつ変化させていくノイズが気持ち良くて、ついうとうとしてしまった。気がついたらシンセサイザーをセットしたスタンドがくずれてしまっている。

最後は福岡林嗣(OVERHANG PARTY)+山崎巌(OVERHANG PARTY、OUT TO LUNCH)。山崎巌は最初はマレットを使用。福岡林嗣は最初ギターをヴァイオリンの弓で弾いてドローンぽい音を発していた。その音をループさせつつ次第に曲に移行。山崎巌も普通のドラム・スティックに持ち替えて曲の骨格をなすリズムを叩き出しはじめる。きっとOVERHANG PARTYの曲(?)。ラウドで分厚いギターの音は迫力があって、ベースレスでもしっかりバンドサウンドとして機能していた。ところどころSEも使用していた様子。途中、SACHIKOがコーラスで加わった曲が印象的だった。それから、詩の朗読からはじまる9.11のテロに関する曲。最後にまた福岡林嗣+山崎巌+SACHIKOで1曲演奏して終了。

3組とも、各自がそれぞれの持ち味を出し合っていたとは思うけれど、デュオならではの演奏という場面はあまりなかったような気がして残念。それにしても一番のお目当てのASTRO+川口雅巳で居眠りしてしまったのは不覚だった。川口さんにさくっと挨拶して退散。

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アパラチア / スカルボ

遊工房で石原さんの展示を観たあとは、荻窪までバスに乗って丸の内線に乗り換え。スカルボのライヴを観に東高円寺のU.F.O CLUBへ行った。この日のライヴはスカルボのモモカワさんが企画したものなので、てっきりスカルボの出番が最後かと思っていたら、なんと2番目。たどりついたとき、ちょうど1バンド目が終わったところだったのでギリギリだった。

スカルボのライヴは今年の2月以来。この日のライヴはベースのイチノヘさんがいつもより目立って観えた。ちょっとブリブリした音でリズムものめり気味だったけれど、左手がダイナミックにフレットを移動し、勢いがあってカッコ良い。ドラムの人はそんなに力いっぱい叩くタイプではないのだけれど、ベースの勢いにも引っ張られているようで、いつになくノリの良さが感じられた。その反面、モモカワさんのギターは、いつもに比べるとややおとなしい感じがした。でもモモカワさんの存在感は圧倒的で、ギターを弾いて唄を唄う姿がとにかくカッコいい。全部で6曲くらい演奏したけれど、この曲はあれだとわかる曲は2曲だけ。いつも一番最後に演奏していた「Inst.」は演奏されなくて、最後の曲はまだちょっとアレンジが未完成な気がした。

あとでイチノヘさんに聞いた話によると、最後の曲とあともう一曲、新曲を演ったそうだ。イチノヘさんがKraftwerkのTシャツを着ていたのでその話を振ったら、去年の来日公演のときに買ったとのこと。そのときのライヴのことをとても嬉しそうに話してくれた。モモカワさんに「今日はリズム隊の2人のノリがいい感じだった」と話したら、「3人編成でやるほうが2人とも楽しいみたい」とのこと。この日のライヴは本当にそんな感じが伝わってきた。以前ギターで参加していたThe Special Viewのセンヤさんも好きだけれど、モモカワさんは唄いながらでも細かくいろいろなことを弾くし、ギターソロもすごく味があって良いので、3人でやったほうがモモカワさんにとっても良いと思う。

スカルボの次はRRR+Y。キーボード/ギター/ベースの3人組で、曲によってはキーボードの人もギターを弾いていたと思う。かなり激しめのサウンドでえんえんと単純なフレーズを反復するという実験的な音楽性のバンド。しかし、やっていることに対しての強い意志みたいなものが感じられず、あくまでも実験というレベルにとどまっているような印象を受けたというのが正直なところ。

最後はこないだ無力無善寺で観たばかりのアパラチア。ギターx2/ベース/ドラムの4人が全員唄う。前回観たときはヴォーカルやコーラスの入れかたがかなりエキセントリックに感じたけれど、今回はそれほどでもなかったような気がする。単に2度目だったから観る側としても慣れたのかもしれない。とはいえ、あいかわらず素っ頓狂なノリもあり、渋いロックな要素もありでおもしろいしカッコいい。無力無善寺よりは設備のしっかりしたライヴハウスということもあるけれど、こないだより演奏が良くまとまって聴こえた。

場内では藤井さんと中村さんにお会いしたので、そのあとご飯を食べに出かけた。ライヴが終わったのもけっこういい時間だったのだけれど、話していて気がついたら12時過ぎ。でも終電まではまだ余裕があるだろうと思っていたら、新宿に向かう最後の丸ノ内線がちょうど行ってしまったところだった。自宅まで歩いて50分弱。この時間は電車の本数も少ないから、電車に乗るより早かったかもしれない。大部分人通りのない暗い夜道ばかりなので、今後も東高円寺から家まで歩こうとはさすがに思わないけれど。遊工房も駅から遠かったし、非常に良く歩いた一日だった。

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石原美和子さんの個展を観に善福寺の遊工房ART SPACEへ。遊工房は西荻窪駅から歩いて30分弱のところにあるギャラリーで、アーティスト・イン・レジデンスにも利用されている。靴を脱いでスリッパに履き替え、2Fのギャラリースペースにあがると、さっそく石原さんに会うことができた。石原さんはほかの来場者とお話しをしていたので、まずは展示を拝見。展覧会は「森」と題されている。ギャラリー中央の楕円形の一部をまっすぐ切り落としたようなテーブルは、高いところに設置された人体から長いレースのスカートがかぶさるようになっていて、手前のほうはスカートの上にブロンズで鋳造された木が点在している。レースのスカートの中にはブロンズのオオカミが一匹。脇のほうのテーブルには、やはりブロンズで形作られた女の人と木の作品が展示されている。一つ一つのブロンズ作品は片手で持てるような小さいもので、オブジェとしても素敵。石原さんが来場者に尋ねられて受け答えしている話に耳を傾けると、オオカミは普段はあまり外に見せない自分の心の中にひそんでいるオオカミを表しているらしい。

そのあとわたしも石原さんとお話し。石原さんはブロンズの鋳造作品をつくるのに、石膏などで型はつくらないそうだ。もともとの形を蝋でつくり、葉っぱのとげとげの部分は本物の木の実を使っていて、鋳造する段階になると熱で蝋と木の実はあとかたもなくなってしまうとのこと。専門的な知識がなくてあまりイメージがわかないのだけれど、そのようなことを教えてもらった。この遊工房の建物はもともと診療所だったそうで、古いアップライト・ピアノが置かれていたり、壁面のうち3面は窓があって外光がたっぷり入ってくるという、ギャラリーとしては変わったスペース。靴を脱いであがるので、一軒家にいるような感じで落ち着く。たどりついたのは夕方のまだ日がある時間帯だったが、共通の知人の消息などとりとめない話をしているうちに、すっかり日が暮れた。外光が入らなくなると、また展示の印象が違って観えるのがとても良かった。

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パスカルズ / ふちがみとふなと

パスカルズとふちがみとふなとのライヴを観に吉祥寺のスターパインズカフェに行った。パスカルズはロケット松率いる十数人の大編成バンド(トイピアノ、鍵盤ハーモニカ、ヴァイオリン、チェロ、トランペット、ウクレレ、ギター、バンジョー、パーカッション、ドラムなど)。ふちがみとふなとは渕上純子(ヴォーカル/鍵盤ハーモニカ/その他小物)と船戸博史(ウッドベース/コーラス)のデュオ。開演に30分くらい遅刻してしまい、もうライヴははじまっていた。受付で「非常に混雑していますがよろしいでしょうか」と言われたけれどとにかく入場。1Fはもういっぱいだったので、2Fの後ろのほうで人の頭のあいだから覗き込むようにして観た。

ステージにはパスカルズのメンバーが揃っているのだけれど、聴こえてくるのは渕上純子のヴォーカル。てっきりパスカルズとふちがみとふなとが対バンで別々にライヴをやるものだと思っていたが、最初から最後まで両者とも一堂に会した状態でのライヴだった。ふちがみとふなとは客席内に設置されたステージにいて、2Fの後ろのほうからはよく見えない。曲によって、パスカルズだけが演奏するときもあれば、ふちがみとふなとだけが演奏するときもあり。パスカルズの演奏に合わせて渕上純子が唄ったり、ふちがみとふなとの曲にパスカルズのメンバーも加わったりもするのだけれど、両者違和感なく溶け合っていい雰囲気。ふちがみとふなと2人だけの演奏のときは、入り口近くの2F席下手側に移動して観たりした。演奏の途中でパスカルズの石川浩二がステージを去って突然2F客席に現れたりする場面もあった。

石川浩二が「ふちがみとふなとは、まるで渕上さんと船戸さんがやっているバンドみたいだけれど、そうじゃなくて、"縁が・水戸・麩・納豆" なのだ~」というようなMCをすると、渕上純子が「石川浩二さんって、わたしと同じタイプだと思います」というようなことを、妙に申し訳なさそうに話したり。ロケット松も、なぜか遠慮がちに申しわけなさそうにMCをするのでおかしかった。なんとも言えないこの取り合わせ。三上寛の「ひびけ電気釜!!」のカヴァーなども聞くことができて、非常におもしろかった。遅刻したけどたっぷり2時間ぐらい観ることができて大満足のライヴだった。

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pagtas / みみのこと

みみのこととpagtasのライヴを観に西早稲田のジェリージェフに行った。ドラムの志村さんがAcid Mothers Templeのヨーロッパ・ツアーに出かけていたので、みみのことのライヴはちょっと久しぶり。

みみのことの出番が先だった。5月にみみのことがジェリージェフでライヴをしたときは、ベース・アンプが真横を向いていて音が聴こえにくかったのだけれど、今回はベース・アンプの前にマイクを垂らしていた(マイクスタンドに立てるほどスペースに余裕がない)。しかし演奏がはじまってしばらくすると、ベース・アンプのマイクがハウリングを起こしている様子。しばらくヴォリュームを調整したりして落ち着かなかった。川口さんのギターも一瞬音が出なくなったりすることがあったけれど、それは単にエフェクターのセッティングの問題だったみたい。それが解消してからは特にトラブルなく演奏。攻撃性はやや抑え目だったけれど、おなじみの曲でもアレンジが今までとは全然違っていたのが新鮮。みみのことの場合、アレンジといってもそんなにかちっと決まったものではなく、川口さんがいつもとは違った雰囲気でギターを弾いていて、他のメンバーも即興でそれに合わせていっているような感じ。ヨーロッパ帰りの志村さんのドラムがとても良かった。いつもに比べるとかなり軽い調子であまり極端な抑揚をつけずに叩いているようでいて、それなのに発している音にはものすごく勢いがあった。ベースの竹内さんもやたらに力むことなく、気持ちよさそうに合わせている。川口さんはやや慎重気味にアレンジを試行錯誤したりバランスに気を配りながらの演奏という感じ。1時間弱の演奏。最初のうちは客が少なかったのだけれど、みみのことが終わるころにはほぼ満席(といっても20人弱だけれど)になっていた。

次は坂田律子の一人ユニット、pagtas。以前観たときは一人でアコースティック・ギターの弾き語りをしていたが、この日はエレクトリック・ギターを使用。最初はもう一人エレクトリック・ギターの人とのデュオ。坂田律子はおもに低音弦で音数少なく単音のメロディを演奏。唄も楽器のひとつのような感じで、言葉を少しずつ音節で区切って唄う。その区切りかたが独特で、ところどころ字余り気味だったりちょっと舌足らずにも聴こえる。ギターの人は上モノっぽい感じでわりと目立つメロディを弾いていた。デュオで数曲演奏したあとは、エフェクターで効果音ぽいノイズを入れる人が加わり、そして最後はドラムも入って4人編成になった。最後のほうではコードをじゃかじゃか弾くようなスタイルでもギターを演奏。しかし、他の楽器に掻き消されてあまりヴォーカルが聴こえなくなってしまったのが残念。最初のほうの少ない音数で演奏しているときのほうが、言葉の発しかたの個性的なセンスが生きて良かったと思う。

8月12日(金)にはみみのことのレコ発ライヴがあるのだけれど、カラーA4サイズの立派なチラシができていた。しかし対バンの三上寛+JOJO広重+山本精一の名前のほうがずっと大きい。写真も三上寛+JOJO広重。川口さんは「裏にたくさん(プロフィールを)載せてもらえたから一応それなりのバランス」というようなことを話していたが、せっかくのみみのことのレコ発なのになぁと思ってしまう。大物だししょうがないか。非常に興味深い組み合わせでもちろん楽しみにしている。

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西尾彩 / 吉田稔美

吉田稔美(挿絵画家)、西尾彩(装本家)による二人展を観に九段下のNIKIギャラリー冊に行った。このギャラリーに行ったのははじめて。千鳥ヶ淵沿いの立派な建物のなかにあるギャラリー。本棚になっている壁面に作品が飾られている。吉田稔美さんはピープショーという穴を開けて切り抜かれた絵を組み合わせて形作った覗き劇場の作品と、絵本の原画の展示。西尾彩さんの展示は小さなノートや小箱から立派な詩集まで、美しい装本の数々。

今日はオープニングパーティということで、リュート奏者、佐藤亜紀子によるスペイン、イタリアのバロック曲の演奏がおこなわれた。テオルボという大型のバロックリュートを使用。弦が15本くらいあって、そのうち5本ぐらいの低音弦が貼られている部分のネックは相当長く、ボディからの全長で言えば演奏者の身長ほどもある。わたしにとってはこのような古楽の室内楽の生演奏を聴くことは非常に珍しい貴重な体験。

会場では写真家の首藤さんと娘さんの陽月ちゃんに遭遇。ピープショーの作品は、わたしでもちょっと背伸びするぐらいの高さにも展示されていて、陽月ちゃんも観ることができるように首藤さんがをだっこして持ち上げたりしていた。覗くとタツノオトシゴがぶらさがっているのが見える作品があったのだけれど、角度が微妙でちょっと見えにくい。Ghostの瀧澤大志さんともお話しすることができた(吉田さんとはかなり古い付き合いとのこと)。Ghostはしばらく活動がないようなので残念。「デーモンとナオミにもGhostはどうしているのと言われた」のだそうだ。わたしのことは吉田さんに「Ghostの奇特なファンがいる」という話を聞いていたらしい。

吉田さんは忙しそうだったけれど、「瀧澤さんとお話しできた?」と気を使ってくださった。吉田さんのイラストは一見シンプルで可愛いのだけれど、ものすごく深い感情や神聖さが宿っていて本当にすばらしい。ピープショーの作品は今までにも何度か観てきたけれど、今回は拷問など西洋のバロック風のモチーフを描いたものから浦島太郎のような和風のお話を基にしたものまで、幅広い作品が展示されていた。オープニング・パーティでずっと人がいるから、わたしも何度も何度も作品を観てまわった。ピープショーは覗くたびに新しい発見があって、こんなにたくさん作品があると全然飽きることがない。

西尾彩さんにははじめてお会いしたのだけれど、友人の長沢暁さんに3月に会ったとき、西尾彩さんに製本を習っているとのことで、いろいろと凄いらしい話を聞いていた。イギリスで装本を学んだそうなのだけれど、やたらにゴージャスな造りにするのではなく、かすかな銀箔の箔押しなどとてもつつましくて繊細な仕上げ。展示のなかには和菓子のイラストが描かれている本があったけれど、素敵な和菓子のパッケージにも通じるようなちょっと古風でさっぱりとしたセンスは、長沢暁さんがまさに好きそうな感じ。もちろんわたしも気に入った。

すぐ近くの靖国神社ではみたま祭りをやっていたので、帰りは夜店がたくさん出て賑やかな境内を歩き、市ヶ谷から電車に乗って帰った。あとで知ったのだけれど、現在の日本ではほとんど残っていない見世物小屋の興行もあったみたい。

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ROCK蟹工船 Vol.10

我々(ワレワレと読む バンド名)が企画するライヴ「ROCK蟹工船 Vol.10」を観に高円寺の無力無善寺に行った。たどりついたら、外の路上(中央線のガード下)でギターの川田さんがエフェクターのセッティングをしていた。全部で6バンドも出るらしく、出演者と楽器がごった返して大変みたい。

入場したときはちょうど2番目のMy Cobra and Her Headsがはじまるところだった。ギターx2、ベース、ドラム、トランペット、トロンボーンの6人組。基本的に決まったリフをえんえんとしつこく繰り返すような曲調。変拍子の曲もあり(よく覚えていないけれど3拍+3拍+3拍+4拍みたいな)。反復主体だけれどあまりグルーヴ感を強調しないところが逆におもしろい。各楽器が演奏するパートはわりと単純なのだけれど、それぞれがきちんと効果的な音を出していて見事なアンサンブルだった。6人演奏者がいて、どこにも無駄な音がない。でも6人それぞれが良くて全員にしっかり目が行く。大部分はインストゥロメンタルだけれど、ときどきギターの人がヴォーカルをとっていた。ヴォーカルは楽器の音に埋もれてあまり聴こえなかったのだけれど。でも全体的にあまり観たことがないような雰囲気のバンドで、非常にカッコ良かった。

その次が我々。今回は新曲を3曲やるとのこと。ギターの川田さんは新しいエフェクターを買ったそうなのでそれもちょっと楽しみ。このライヴがおこなわれた7月10日は、我々のベーシストのアオウさんと、無力無善寺のオーナー無善法師の誕生日らしい。アオウさんはこの日はいつものSGの形のベースではなくて、5弦ベースを使用していた。演奏がはじまってすぐ、無善法師がふんどし姿でステージ(客席部分とほとんど区別がないけれど)に登場。台に昇り、天井に手をついて支えながら腰を(というかお腹を)振り振り踊りはじめた。首にかけたフワフワのマフラーみたいなもので演奏する我々のメンバーにちょっかいを出したり。最初のうちは端のほうにいたけれど、次第にヴォーカルのコマツさんの前に出てきて客席にも侵入。最後はふんどしもとっていて、お客さん一人一人と握手。無善法師にすっかり場の空気を持っていかれて我々の人たちはいつもよりもおとなしく演奏していたけれど、でも特にとどこおりなく進行。無事に平和にライヴは終了した。川田さんは構成まちがえて曲の途中をすっとばしたりしたと話していたけれど、観ているほうには全然わからない。最初のほうで演奏された新曲のカッティングが気持ち良かったし、あとディレイを使って最後にえぐいエフェクトの音を残したりしていたのも良かった。

次のエーツーは唄&振り付けの女性2人組。唄はリズムに乗っているがメロディがなく、掛け声に近いような感じのもの(ラップでもない)。振り付けは2人のタイミングやキメなどばっちりで、地面を転がったりもする相当激しい動き。BGMや伴奏もない中で30分間力いっぱいのパフォーマンスだった。ほとんど宴会の余興のようなスタイルで、よくやるな~とも思ったし、すごいな~と感心もした。なんか世の中をのろってそうなところが良い。

エーツーが終わったところで、アオウさんと無善法師の誕生日を祝うケーキが出てきて、けっこう大きい一切れをいただいた。我々の無力無善寺のライヴは女性は入場料無料(ドリンク代500円のみ)なのに、その上ケーキまでいただいてしまうとは。夜ご飯もすませてビールを飲んだあとだったけれど、おいしくいただいた。

その次はアパラチア。前にスカルボのライヴの対バンで、最後ほんの数十秒ぐらいだけ観たことがある。スカルボのモモカワさんがすごく良いバンドだと話していたので、今回はじめて観ることができるのを楽しみにしていた。ギター/ヴォーカル(男性)、ギター/ヴォーカル(女性)、ベース/ヴォーカル(女性)、ドラム/ヴォーカル(男性)というメンバー編成は、なにげにわたしがやっているChrome Greenと一緒(Chrome Greenはメインの1人しか唄わないけれど)。ドラムの人が妙にテンション高く唄っている中、ギター/ヴォーカル(男性)の人がうなり声のような渋い声で唄ったり、ギター/ヴォーカル(女性)の人がすさまじい金切り声で腕を振り回しながら唄ったり、かなり各メンバーのヴォーカルの印象が強烈。曲調はグラムロックっぽいものからフォーキーなものまで多彩。ヴォーカルだけとりあげるとかなりパンキッシュだけれど、根にあるのは渋いロックという感じがした。その微妙なブレンド具合がとても個性的でおもしろい。

会場にはスカルボのモモカワさんも来ていて、今度アパラチアと対バンするライヴのチラシをいただいた。とても楽しみ。我々新聞によれば8月末にはスカルボ、我々、The Special View、あかさたなという組み合わせのライヴもあるようで、これも非常に楽しみだ。どちらもモモカワさんが企画しているライヴ。

最後に出演したのはハズレッシブ。去年、無力無善寺でおこなわれた日本ロックフェスティバルのときに観たことがある。あのときは10バンドぐらい出ていて、客も立ち見でびっしりで大変だったけれど、今回は落ち着いて座って観ることができた。去年観たときはいなかったキーボードの女性が加わっていたのだけれど、俺はこんなものじゃないの人だそうだ。単なるヘルプという感じでもなく、サウンド的にかなり目立って活躍していて、去年観たときよりも全体的にゴージャスな音になっていた。ただ、ハズレッシブは時おりみせる妙なテンションの高さが魅力のバンドという感じに思っていたので、正直なところキーボードが加わったからどうこうという感じもあまりない。今回はいい意味で余裕を感じさせるまとまった演奏だった。

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割礼 / コクシネル

割礼、灰野敬二、さかな、コクシネルのライヴを観に表参道FABに行った。ちなみにこの日はジム・モリソンの命日(このライヴ・イヴェントとは特に関係なし)。一番のお目当ては割礼だったのだけれど、4つとも楽しみにしていた。最近知り合ったKen-ichiさんがコクシネルがお好きだとおっしゃっていたので、お誘いした。Ken-ichiさんは昔「天国注射の昼」がおこなわれていた頃に何度もコクシネルを観ていらっしゃるのだそうだ。

最初に出演したのがコクシネルだった。この日のメンバーは野方攝(ヴォーカル)、池田洋一郎(ギター)、石渡明廣(ドラム)、早川岳晴(ベース)、中山努(キーボード)。6曲演奏したうちの最後の1曲だけ、割礼の宍戸幸司(ギター)と山際英樹(ギター)が参加。前日と2晩連続のライヴということもあり、バンド内のコンビネーションはばっちりな様子。特にベースの早川岳晴とドラムの石渡明廣のリズム隊の活躍が目立っていた。去年コクシネルのライヴを観たときは、池田洋一郎が曲によってはギターを弾かずにラップトップを使用していたのだけれど、今回は全曲でギターを演奏。でももっと前面に出ても良かったと思う。野方攝の歌詞を一つ一つ噛み締めるように唄うヴォーカルはとても印象的。歌詞の言葉遣いはいたって平易なのだけれど、真摯な内容で心に深く沁みる。Ken-ichiさんによると、「昔はここまで力んで唄ってはいなかった」とのことなのだけれど、それでも去年観たときよりはだいぶリラックスして唄っているように感じられた。

2番目に出演したのはさかな。前にさかなを観たのはたぶん4-5年ぐらい前。当時はPOP鈴木(ドラム)、勝井祐二(ヴァイオリン)が参加していた。現在はPocopen(ヴォーカル/ギター)、西脇一弘(ギター)の2人。2人だけの演奏では物足りないのではないかとも思っていたのだけれど、全然そんなことはなかった。今となっては他の楽器が入っているところなんて想像がつかないほど。Pocopenのクセのある声は相変わらず。でも歌唱力もギターも昔と比べて見違えるぐらい上手くなっていた。ベースライン風に単音の旋律を弾くことが多かったけれど、あれだけエモーショナルに唄いながらこんなに弾くことができるのはすごいと思った。終わりから2曲目に演奏された「少し変わってる ただ それだけ」という詞の曲は聴き覚えがあった。すごく素敵な曲。

次は灰野敬二。最近はサンヘドリン(w/吉田達也、ナスノミツル)や藤掛さんとのデュオなど、共演者のいるライヴを観ることが多かったので、個人的にはソロを観るのはかなり久しぶり。椅子に腰掛けて演奏していた。ざっくばらんにコードを弾いた数秒分のフレーズをループさせ、そこにさらに不協和音を重ねたり、シンコペーション風に音のすき間を埋めていったり。そしてところどころでヴォイス・パフォーマンス。ときどき髪を手でかきあげる仕草や、かがんで足元のエフェクターを操作する姿が、ちょっと集中力を欠くような感じもして気になる。他のミュージシャンとの共演で立って演奏しているときのほうが、見るからにテンションが高く、有無を言わせぬ凄みを感じる。でも、ただ単にそのときどきの違いということかもしれない。

そして最後は割礼。メンバーは宍戸幸司(ヴォーカル/ギター)、山際英樹(ギター)、鎌田ひろゆき(ベース)、松橋道伸(ドラム)の4人。割礼のライヴを観るのは去年の12月以来である。1曲目は「メタモル」。以前はこの曲のときは鎌田ひろゆきがセミ・アコースティック・ギターを弾いてベースレスの編成で演奏されていたのだけれど、今回はベースを弾いていた。アコギ入りのアレンジも良かったけれど、個人的にはベースが入る編成のほうが好き。他に演奏された曲は「ゲー・ペー・ウー」「風船ガムのドジ」「星を見る」「リボンの騎士」。最近良く演奏されている定番曲を並べた選曲だったけれど、「風船ガムのドジ」のはじまりかたは今までとちょっと違っていた。山際英樹が弾くギターのパートも、曲によっては聞きなれない新鮮な感じの音があった。最後にアンコールでもう1曲、「アラシ」を演奏。今日演奏された曲の中で一番感動的だった。

Ken-ichiさんは割礼は10年以上ぶりに観たそうなのだけれど、最後の「アラシ」と、あと「星を見る」が良かったっておっしゃっていた。帰りにラーメン屋に入って、昔の音楽シーンからインドの骨董品屋さんの話まで、いろいろ興味深いお話しを伺うことができておもしろかった。

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