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長沢哲 Duo Ensemble with 三浦陽子

長沢哲 Duo Ensemble with 三浦陽子を観に荻窪のvelvet sunに行った。長沢哲さんの出番は2バンド中2番目。出演予定の時刻に30分近く遅れてしまったのだけれど、幸い時間が押していて、最初から観ることができた。ステージ下手側にはグランド・ピアノ、上手側にはドラムセット。着いたときにはもうほとんどセッティングが済んでいて、カウンターでお金を払ってドリンクをもらったらすぐ演奏がはじまった。

ピアニストの三浦陽子さんを観るのははじめて。velvet sunに来るのもはじめてである。ライヴハウスというよりはバーのような雰囲気のお店なのは予想通りだったけれど、通りに面した1階にあるのが意外だった。青梅街道沿いの騒々しい立地だから特に問題ないのかもしれないけれど、スケジュールをみるとけっこう爆音の人たちも出演している様子。

1曲目のときは、わりと不定形のリズムパターンで、即興演奏だと思って聴いていた。でも、2曲目以降は一定のリズムパターンが持続する部分も多く、あらかじめ作曲された曲なのだなと認識。というか、2曲目が終わったあたりのMCで曲紹介をしていたから、それ以降は作曲された曲であることは自明だった。

作曲されたものであるという前提で聴いていなかった最初のうちは、三浦陽子さんのピアノはちょっとつかみどころがないような感じがした。それは決して悪い意味ではなく、あまりわたしが観たことがないようなタイプの演奏だったということ。豪快さとか華麗な印象とは遠く、とてもストイックで繊細な演奏。でも決して弱々しいことはなく、どこか確信に満ちた芯の強さを感じさせる音だった。たぶん、作曲の時点でイメージしているものがしっかりしているのだと思う。

長沢哲さんのドラムセットは、今まで良く観てきたロートタム主体のセットではなく、普通のロックバンドのドラムのようなセットだった。スティックも、最後1-2曲を除いて先まで木の普通のスティックを使っていた。片手は細かい刻みで一定のリズムをキープし、もう片方の手はそのすきまを狙うような不定形のリズムでアクセントをつけていくような技を多用。でも、局所的に激しい強弱をつけて鋭く叩いたり、シンバルを思い切り響かせたりする場面も。右側のライドシンバルは、数箇所の小さい穴にネジみたいなものがセットされていて、ジリジリジリーと響く妙にひっかかりのある音を発していた。常にドラムが出すヴォリュームの総量を計算してピアノの音を掻き消さないようにしながら、その中でリズムのパターンを組み立てていっているような感じがする。あまり極端な起伏をつけることがないような三浦陽子さんの演奏に対し、長沢哲さんはむしろそれを補うように随所にアクセントをつけていき、特にあとのほうの曲になるほどメリハリのあるドラミングになっていった。最後はちょっと神経をさかなでるような間を大事にした曲で、長沢哲さんのドラムも効果音的に音を添えていくような感じで、60年代の前衛映画のサウンドトラックみたいなシャープでスタイリッシュな雰囲気を感じた。

あとで長沢哲さんに聞いたところによると、このユニットでは三浦陽子さんが書いた曲を演奏しているとのこと。確かに演奏を観ていてそうだろうなと思っていた。三浦陽子さんは、ソロで演奏してもほとんど同じような演奏をしそうだけれど、長沢哲さんのドラムは、ソロやギタリストの小沢あきさんとのデュオでやっているときとはまた全然違う感じだった。たぶん三浦陽子さんの曲に素直に合うように演奏しているのだと思う。

ライヴ終了後は長沢暁さんとお話し。暁さんは名古屋までKUDAN Project『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』を観に行くそうだ。いいなぁー、わたしのまわりにはこの公演を観に行く人がけっこうたくさんいる。あと、こないだ観た西尾彩さんと吉田稔美さんの2人展のことなどで盛り上がる。帰りは荻窪からではなく、南阿佐ヶ谷の駅まで歩いて帰ってみた。

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