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すいへいせんのうきわ

イラストレーターの西山咲耶さん、久保かおりさんによる2人展を観に神保町の文房堂へ。西山咲耶さんとは今年3月の鈴木翁二さんのライヴのときに知り合って今回DMをいただいた。文房堂ビルは画材屋、ギャラリーなどが入ったとても古くて味わいのある建物で、「すいへいせんのうきわ」と題されたその展覧会は、画材屋内部の中3F階段踊り場にある小さい貸しスペース、B-shopでおこなわれていた。会場を訪れたときには、西山さん、久保さんの作家2人と、お客さん1人がお話しをしていた。

2人のイラストは、作風が似ていると言われることもあるらしい。確かに醸し出す雰囲気はどちらもほのぼのとして女の子らしい雰囲気。でも単にカワイイというところに落ち着いてしまわないのびやかさが感じられる。入り口近くにある、A4くらいの平行四辺形の紙を16枚くらいつなげた作品は、柔らかい線の感じですぐに西山さんの作品だとわかった(西山さんの作品はウェブでしか観たことがなかったのだけれども)。想像力が膨らむままにいろいろなものを配置した架空の風景画のようで、隅ずみまで見渡しても飽きない力作。紙のつなぎ目のところを折っていくと、小さくたたむことができるようになっているらしい。

久保さんの作品はどれも線がかちっとしていて、色とりどりの作品でもそれぞれの輪郭がはっきりしている。でも絵のモチーフはやはりお互いに共通点があるみたい。シンプルな線画のイラストだと、キャプションがなければどちらの作品か一見して区別がつきにくい。西山さんは、「1年くらい前に描いた作品もあるので作風が全然統一されていない」と言って気にしていたけれど、そのような線画の作品はもしかしたら古い作品だったのかもしれない。西山さんは自作の絵本も出品していて、製本がキレイにできていないことも気にしている様子だったけれど、製本技術は別として、各ページに描かれたイラストはとても素敵で気に入った。

そのうち閉店時間がやってきたのでみんなで外へ。西山さんとごはんでも食べようということで歩き始めたけれど、今日P-HOUSEでバ  ング  ント「跡」展があるという話をしたら、西山さんもぜひ行きたいとのこと。バ  ング  ント「跡」展については、こないだまでP-HOUSEでおこなわれていた展覧会「バ  ング  ント」の会期終了後を見せてしまうという1日限りの企画。飴屋法水が会期中閉じこもっていた箱の内部が公開されるという。この「跡」展については、「バ  ング  ント」のサウンド・インスタレーションを担当した大友良英のblogでつい前日に知ったばかり。

地下鉄を乗りついて六本木へ。P-HOUSEの中は、混雑しているというほどではないけれど、たくさんの人がいた。大友良英や八谷和彦の姿も。切ったスイカなども置いてあり、ちょっとした打ち上げっぽい雰囲気。

飴屋法水が閉じこもっていた箱の中には、着替えた服などを入れたビニール袋やペットボトルの水、缶詰の流動食、バケツなどが雑然と残されていた。汚物はどうしていたのだろうということが一番気になっていたのだけれど、つまり極力その心配がないように流動食と水のみで生活していたということなのか? 床面には「空気穴」とキャプションがつけられた指をつっこめるぐらいの大きさの穴がある。

その脇では、会期前に飴屋法水が箱に入る際の、スタッフがしっかり釘を売って閉じ込めているヴィデオを上映。顔のない証明写真を撮る器械は撤去済み。会期中、写真を撮った人が自由に壁に貼っていった写真は、ギャラリーの壁の隅にかためてきちんと並べて貼られている。

奥のほうの部屋では会期中におこなわれたライヴのヴィデオ上映。石川高(笙)とSachiko M(サイン波)による「モ ュレ シ ン」の演奏と、大友良英のアコースティックギターソロの演奏が交互に流されていた。そこで西山さんはお友達を発見。

「モ ュレ シ ン」は、生で聴いていたらどうだったかわからないけれど、笙とサイン波の音が交じり合って一つになっているように聴こえるのがおもしろい。大友良英のアコースティックギターソロは、一音鳴らしては目の前のテーブルで何か線のようなものを書いていく(紙に書かれた「君が代」の歌詞かあるいはコードを消していっている?)。

ギャラリー壁面の大友良英によるサウンドインスタレーションは取り去られて、ジャックが取り除かれたヘッドホン用の穴からはむき出しの配線。でも椹木野衣のテキストは読むことができるし、その他多くの展示品がそのまま残されている。さらには小田マサノリによるテキストやサウンドによる介入作品が追加で展示。ヘッドホンでずっと聴いていると、何分かに一回突如として大音響のノイズが聴こえる作品があり、たまたますぐ近くにいらっしゃった小田マサノリさんご本人に尋ねてみたところ、飴屋法水が閉じこもっていた箱を電動ドライバーで開けたときの音を録音したものだそうだ。

ヴィデオも残された展示もひととおり観終わったあと、西山さんとそのお友達の宮崎さん、わたしの3人でサイゼリアへ。わたしと宮崎さんはけっこうがっつり食べたけど、西山さんは展示を観たショックであまり食欲が出ないと言う。西山さんは美大生で宮崎さんは建築が専門の大学院生。2人ともわたしよりずっと若いのだけれど、音楽、アートなどすごく詳しくて、いろいろなことに興味を持っていて、しかもイヤだと思うことのセンスがわりと似ているかも。いろいろと話がはずんで、楽しいひとときを過ごすことができた。

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Comments

ていねいに感想かいていただいていたのに、あのあとドタバタしていていまごろこの日記に気がついてよませていただいています。ほんとうに温かいご意見どうもありがとうございます(泣)ちょっとまだまとまらない部分が多いので早くそれをすこしでも形にできるようになりたいなあ。
インテリジェントな(?)宮崎さんのブログはhttp://d.hatena.ne.jp/digm/
またお食事でもいきたいですね!

Posted by: 西山 | October 02, 2005 02:00 AM

コメントどうもありがとう。このエントリー書いたのつい数日前ですよ。更新が追いつかなくて、なんと1ヶ月遅れになってしまっています。また会いましょう!

Posted by: selavy | October 02, 2005 03:20 AM

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