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狂った一頁

「バ  ング  ント」展を観たあとはSUPER DELUXEに移動。映画『狂った一頁』の上映にあわせて千野秀一(ピアノ/ラップトップPC)、上野洋子(ヴォーカル/パーカッション),AYUO(ギター)が演奏するイヴェントを観た。

最初は映像なしで、中原中也の詩にAYUOが曲をつけたものを3人で演奏。このときは千野秀一はピアノ、上野洋子がヴォーカル。AYUOはアコースティック・ギターにフィルター系のエフェクトをかけたふわふわした音で弾いていた。特に奇をてらうことのない素直なアレンジと演奏でなごやかな雰囲気。中原中也の詩は友川かずきなど多くの歌手に取り上げられているけれど、女性ヴォーカルで唄われるのは新鮮な感じがした。とはいえ、意外と違和感はない。

そのあとは映画の上映に合わせての演奏。『狂った一頁』(1926年/新感覚派映画連盟/59分)は川端康成の脚本を衣笠貞之助が製作・監督した無声映画。精神病院を舞台にし、さまざまなイメージが交錯するシュールな映画である。しかし病院に小間使いとして勤めて発狂した妻の世話をする夫、母親が狂人だから結婚できないという娘、そして脈絡なく挿入されるイメージのなかに出てくる当時の町並みなどの映像からは、むしろほのぼのとした印象も受ける。それは演奏者の、特にAYUOの雰囲気によるところも多いかもしれない。ギターを弾く以外にも、弁士のようにセリフを喋ったりもしていた。千野秀一はラップトップPCから出すサウンドが中心で、ときどき小さいシンバルを叩いたり。表現主義の影響が色濃いアヴァンギャルドな映像に対して、効果音的なアプローチで音を挿入しているような演奏。上野洋子は、基本的に上モノ担当という感じで、小物パーカッションなどの演奏とヴォイス・パフォーマンス。わたしの位置からはよく見えなかったのだけれど、その場の雰囲気に合わせて次々と楽器を持ち替えていた様子。

白くペンキで塗られた壁にヴィデオ・プロジェクターでかなり大きく映写された映像は、映画として鑑賞するにはちょっと暗め。しかもピンボケ気味なのが気になる。まぁ映画を観ることを主眼と思うのでなければ特にケチをつけるほどのことでもないかもしれない。演奏者は多少映像に被さって、スクリーンの隅のほうに影を落とすような位置で演奏していた。ものすごくテンションが高いとか、心を揺り動かさせられるような演奏が繰り広げられていたということもないのだけれど、3人とも素直にそれぞれの持ち味で音を出しあっている様子がいい雰囲気で、なかなか興味深いイヴェントだった。

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