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cinnabom

「P-ブロッによる雑音楽」の後は下北沢へ。ラ・カーニャでcinnabom[ちなぼん]のライヴを観た。cinnabomこと正山さんは学生時代からの友人。sugar plantというユニットのヴォーカル/ベースで長く活動しているが、ここ数年はソロでギターの弾き語りをするcinnabomの活動が中心になっている。1人で弾き語りをするcinnabomは今年の3月に観ているけれど、この日のライヴはバンド編成でおこなうとのこと。メンバーは、cinnabom(ギター/ヴォーカル)の他、伊藤ゴロー(ギター)、山上一美(フルート/サックス)、塚本真一(ピアノ)、一本茂樹(ウッドベース)、伊藤葉子(ドラム)の6人。

前半は「永遠の星」「as your girl」「かなた」「海へ」「dryfruite」と、いずれもアルバム収録曲を演奏。バンド編成の演奏で、より大人っぽくムーディな雰囲気。特にフルートとサックスによる流麗なメロディが心地よい。伊藤ゴローのギターは、正山さんのボサノバギターの師匠ということで楽しみにしていたが、あくまで正山さんを立てるように演奏していていて、かなり控えめに感じられた。一方、正山さんは、バンド編成でやれる心強さなのか、一人で弾き語りしているときよりは楽に弾いていたような気がする。全体としては、どちらかのギターがもっと聴こえるようにしたほうが良かったように思う。

演奏の合間のMCは、正山さんが昔ラ・カーニャでアルバイトをしていたという話から、詳しい曲紹介までいろいろ。いつもギターを練習しに出かけていた「庭」と呼んでいる場所が近所にあって、「かなた」はそこに生えている木のために作った曲なのだとか。「海へ」は前のライヴのときもとても印象的だった素敵な曲。「dryfruite」はもともとsugar plant名義で発表された曲(dryfruiteというアルバムがある)。「ドライフルーツは、みずみずしさはないけれど栄養価は高くてぎっしりと中身が詰まっている、自分自身もそうでありたいと思っている」というようなMCをすると、「そういう曲だったんだ」という突込みが他のメンバーから入り、「そうなんですよ」というような受け答えがあって演奏がはじまった。sugar plantのときからそう思って唄っていたとしても、歳を重ねるとともにその意味は深まっていく。同い歳の正山さんがそのように思いながら詩をつくったりしているんだなぁと感慨深い思いで耳を傾けた。

後半はまずポルトガルの曲のカヴァーを3曲、そして「夏よ来い」「おやすみ」。カヴァーの曲でも、詩の内容を紹介したりして、詩人でもある正山さんならではのMCをたくさん聴くことができた。正山さんの詩は、もちろん現代詩であることは踏まえていると思うけれど、難解なレトリックを駆使するようなものではなくて、ストレートで素直な感情や思いを綴ったエッセイのようでもある。その真摯さは学生時代から全然変わるところがない。歳を重ねていろいろな経験をするごとに、正山さんの詩や詩に対する思いはどんどん深くなっていっているのだと思う。

後半では伊藤ゴローの華麗なギターソロを聴くことができる場面もあった。また、最後の「おやすみ」では正山さんが慎重に爪弾くアルペジオが印象的だった。確かこれは一人で演奏したんだったかな? (ちゃんと覚えて書いているのかって突っ込みが入りそうだけれど、blogをアップするのはずいぶん遅くなったが、ライヴのあとにほとんど殴り書きの下書きでそう書いていたのだ)。そのあとに確かアンコールを1曲やってライヴは終了。今までなかったバンド編成でのライヴということで、用意していた曲を出し尽くした様子。ライヴ終了後、ちらっと正山さんとお話し。ワンマン・ライヴだったから、たっぷりというには時間的にちょっともの足りない感じがしたのも事実だけれど、心のこもった唄の数々にバンド編成での演奏、MCともに大満足のライヴだった。

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